介護職に携わる方で、「ワンランク上の技術を身につけるために実務者研修を取得したい」という向上心の高い方はとても多いです。
しかし、その一方、「実務者研修を受けるタイミングが分からない」という方も多いのではないでしょうか。
今回はそのような疑問に対して、「実務者研修を取得するベストなタイミング」について解説していきます。
実務者研修を取得するメリットは大きい
「そもそも実務者研修を受ける価値があるのか」という疑問に対してですが、結論から言うと実務者研修を受ける価値は十分にあります。
実務者研修は介護にまつわる実践的な知識、技術を学べる研修です。
実務者研修を取得することで、喀痰吸引や経管栄養といった医師や看護師以外は認められていない、より専門的なケアの基本研修を学ぶことができます。
つまり、実務者研修の資格を取得することで、一人前の介護職員として現場で出来る業務が増え、その分より多くの場所で活躍・重宝される人材へとキャリアアップができるということです。
また、実務者研修を取得すると、資格手当がつくケースも多く、給料面においても取得するメリットは大きいです。
さらに、実務者研修は介護福祉士の受験資格の一つですので、次のステージへとキャリアアップするための土台作りにもなります。
一度取得すれば生涯役立つ資格ですので、介護職職員としてのスキルアップのためにもぜひ取得しておきたい研修です。
実務者研修は実務経験1〜2年目で取得を目指そう
実務者研修はできるだけ早いタイミングで取得することをお勧めします。
特に、介護福祉士国家試験を目指す方は、実務経験1年目から2年目の間に取得するのが良いでしょう。
その理由は、実務者研修を早めに取得することで、資格取得者としての待遇を早くから受けることができ、次へのステップアップも可能になるからです。
実務者研修を早めに取得することで得られる3つのメリット
実務者研修を早い段階で受けるメリットは主に3つあります。
①より重宝される人材になれる
②実務者研修の資格手当で収入が増える
③効率よく介護福祉士国家試験を目指せる
より重宝される人材になれる
実務者研修の取得により、普段の仕事の現場で学んだ技術や知識をさらに生かすことができます。
実務者研修では、疾患や障害についての知識や制度をしっかり学べます。
その知識によって、日常の支援とケアの両方の幅が広がり、より一層活躍の場が増えることに繋がります。
実務者研修の資格手当で収入が増える
実務者研修を取得することで、資格手当がつき、給料が上がるケースがほとんどです。早く取得すればその分早く収入が増えますので、資格取得を後回しにするメリットはありません。
厚生労働省は介護職員の平均給与額月額を以下のように発表しています。
無資格者 258,540円
初任者研修取得者 276,450円
実務者研修取得者 285,180円
介護福祉士 307,100円
引用:「三省厚生労働省平成29年度介護従事者処遇状況など調査結果の概要」
無資格から実務者研修を取得した場合は26,640円の昇給
初任者研修取得者が実務者研修を取得した場合は8,730円の昇給ということになります。
効率よく介護福祉士国家試験を目指せる
実務者研修を取得するタイミングが早ければ早いほど介護福祉士国家試験の勉強時間を多く確保でき、介護職員の目標の一つである介護福祉士を効率よく目指すことができます。
介護福祉士の受験資格を得るためには、試験日までに3年の実務経験と実務者研修の修了を満たしておかなければなりません。
実務者研修を取得していない場合は、「実務者研修修了見込証明書」をスクールから発行してもらい、提出することで受験の申し込みをすることができますが、それだけで受験資格を満たすことにはならないので注意が必要です。
受講資格と受講方法
働きながら資格取得を目指す場合、通学での学習と自宅学習を併用する方法が一般的です。
実務者研修は、経験や資格がなくても受講することができますが、スクールでの授業内容は、実務経験があるほうがより理解しやすい内容になっています。
そのため、全くの初心者にとっては少々難易度が高いと感じるかもしれません。
受講の期間については、実務者研修は約6ヶ月かけて450時間文の研修を受ける必要があります。
ただし6ヶ月以内に終了しなければならないのではなく、3年間の猶予があります。
他の介護資格をすでに取得されている方は、実務者研修の一部科目が免除となる場合がありますので、受講前に確認・申請の手続きを行ってください。
受講期限に注意
実務者研修には受講期限があります。「実務者研修の受講をスタートしてから◯か月以内に実務者研修を修了してください」という趣旨のものです。
受講期限はスクールによって異なりますので必ず確認しておきましょう。
しかし、実務者研修は一生ものの資格です。
研修に有効期限はありませんので、実務者研修を修了後○年以内に介護福祉士に合格しなければならないということはありません。
教育訓練給付金を活用して実務者研修を受講できる場合もある
雇用保険の被保険者である期間が1年以上ある場合は、教育訓練給付金として国から講座料金の一部が支給される場合があります。
ただし、この給付金制度を活用できるのは実務経験2年目からになります。
費用面で不安がある方は、このような制度を利用して資格取得を目指すのも良いでしょう。
働きながら資格を取るには計画性が必要
実務者研修は働きながらでも十分取得可能な資格です。しかし、働きながらスクールに通うのは決して楽なことではありません。
資格を取得するには、勉強と仕事の配分をしっかり考え、計画的に勉強する必要があります。
特に介護福祉士の資格取得を視野に入れている場合は、余裕をもって早めに受講することをお勧めします。
ご自身の環境やキャリアプランなど、様々な要因を考慮して計画を立てましょう。
実務者研修はスキルアップするための重要なステップ
実務者研修は、取得することで仕事の幅が広がったり、給与面で待遇されたり、取得することで得られるメリットは多くあります。また、早めに取得することで、介護福祉士やケアマネージャーなどの次のキャリアアップへと効率的に移行することができます。
実務者研修は、介護の知識や技能を高めていくためには必須となる資格で、実務経験が少ない方からそれなりに実務経験を積んでいる方まで、幅広い年齢層の方が受講しています。
介護業界では、給与などの待遇面が年齢や学歴に左右されず、努力次第でどんどんキャリアアップが可能です。
仕事の勤務状況や資格の有無を重視する介護事業所も多々ありますので、介護職としてのキャリアアップを目指している方は、様々な形にチャレンジしてもらいたいです。
是非とも早い段階で実務者研修を取得し、ご自身の確固たる技術の確立とキャリアアップに役立ててください。