介護の知識をシリーズで発信していきます。
このページは《Ⅰ》医療的ケアの基礎知識の中の【喀痰吸引①口腔内吸引とは?】のページです。
医療的ケアの基礎知識についての目次は末尾にあります。

喀痰吸引①口腔内吸引とは?

口腔内吸引とは、口腔内にたまった唾液(つば)や、うまく嚥下できずに口腔内に残った食べ物や水分を、吸引装置と吸引カテーテルを用いて体外に吸い出すことを言います。

吸引できる範囲

介護職が口腔内を吸引する場合、吸引してもよい範囲が定められていて、それは咽頭より手前を限度としています。

咽頭とは、空気と食べ物の通り道で、鼻の奥、口蓋垂(のどちんこ)の奥から、喉頭や食道まで続く約12㎝程度の細長い筒状の器官です。

咽頭は、鼻からの空気と口からの食べ物の通り道で、喀痰がたまりやすい場所ですが、介護職は吸引できる場所ではありません。そのため、口腔内の吸引の際に挿入できる吸引カテーテルの深さは、体格にもよりますが、最大で約10~12㎝となります。

口腔内の吸引時の注意点

注意点①刺激はNG

口腔内で喀痰が貯留しやすい場所は、奥歯と頬の内側の間、舌の上下、前歯と唇の間ですので、そこを中心に吸引していきます。
口の奥の方を吸引する際は、口蓋垂や咽頭を刺激すると、嘔吐反射が起き、嗚咽が出て、ひどい場合は嘔吐につながるため気を付ける必要があります。

注意点②吸引圧

粘膜の近くを直接吸引するため、吸引圧にも気をつけなくてはいけません。
吸引圧が強すぎると粘膜を傷つけ出血するリスクがあります。
介護職が認められている吸引圧は、20kPa(キロパスカル)または、150㎜Hg以下となっています。これは、単位が違うだけで吸引の圧力は同じです。

吸引圧を確認する方法

吸引する前には、毎回必ず吸引圧の確認が必要です。

まず吸引装置の電源をつけた状態で吸引カテーテルの根元を指で折り曲げ、喀痰を吸えない状態を作ります。
そうすると、圧力が高まって吸引装置の圧力メーターが動き始めるので、メーターの針が止まったところの数字を見て、適切な圧力になっているかを確認します。

注:基本的には介護職が吸引圧を変更することは禁じられています。

吸引時のトラブル対処法

吸引中に、適切な吸引圧でも、口腔内の粘膜に吸引カテーテルが吸い付いて離れなくなることがあります。
そのまま力ずくで引きはがすと粘膜を傷め、吸い付いてしまった部位の損傷等の危険が生じます。

その際は慌てず、圧力を測るときと同様に、吸引カテーテルを折り曲げて喀痰を吸えない状態を作り、こよりをよるようにそっと動かしながら粘膜からはずしていきます。
決して無理に吸引カテーテルを引っ張って取らないようにしましょう。

筆者紹介

瀬絵梨


3歳より、夢は看護師!と心に決め、高校より看護学校(5年一貫教育衛生看護科)に通い、2008年正看護師になる。

資格取得後は、総合病院の救急外来や訪問看護、検査等の経験を経て、介護職の方への研修講師として活動。

土屋ケアカレッジでは、分かりやすい!をモットーに、生徒さんが支援先で困らないよう、実践的な医療の側面からの知識提供に努める。

統合課程、新人教育、実務者研修、実地研修の指導看護師等を担当中♪

監修

下岳彦

順天堂大学 医学部&スポーツ健康科学部 非常勤講師

1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

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