介護職員初任者研修は、介護分野における入門的な資格ではありますが、だからといって楽にとれる資格ではありません。
「初任者研修は思った以上にしんどかった」「慣れない実技演習が大変であった」など、研修修了者の中には苦労話を述べる方も少なくはありません。
なぜ初任者研修はしんどく感じる方が多いのでしょう。
そこで当記事では、初任者研修がしんどいと言われる理由や、それでも多くの方が初任者研修を乗り切っている理由について解説します。
介護職員初任者研修がしんどいといわれる理由5つ
介護職員初任者研修のしんどい部分として、主に以下の5つが挙げられます。
- 講義(座学)で知識を覚えるのが大変
- レポート課題を書くのに苦労する
- 実技演習が大変
- 仕事との両立がしんどい
- 理解が深まることでの辛さ
以降ではそれぞれの詳細を解説しますので、自分が研修を受けている姿を想像しながら読み進めてみてください。
講義(座学)で知識を覚えるのが大変
介護職員初任者研修は、厚生労働省の定める方針により、合計130時間の研修を受講する必要があります。
そのうち40.5時間を講義、89.5時間を実技演習に割り当てることになります。
タイプ | 時間 | 勉強方法 |
---|---|---|
講義(座学) | 40.5時間 | 通信学習が可能 |
実技演習 | 89.5時間(約13日通学) | 通学し教室で学ぶ |
講義はいわゆる座学であり、介護に関する知識を覚えることになります。
「介護保険制度」「老化の理解」「認知症の理解」など、介護や医療に関わる専門的な知識を学ぶことになりますので、畑違いの業界で働いていた方などですと、最初は覚えるのに苦労することもあります。
またテキストを使って勉強をすることになりますので「何十年ぶりに机に向かって勉強をして大変だった」という声もみられます。
レポート課題を書くのに苦労する
初任者研修では、講義の理解度を測るために、3~5回程度、レポート課題の提出が求められます(回数や課題内容はスクールによって異なる)。
後半の課題になると難易度も上がり、たとえば「指定する4つの介護ワードをつかって、介護を提供する上での留意点を500文字程度で述べよ」といったテーマに対し、レポート作成が求められることもあります。
講義で学んだ知識を理解するだけでなく、それを簡潔に文章化する必要があります。
そのため「普段文章を書くのに慣れていない」「レポートや論文の作成経験がない」といった方の場合、余計に苦労することがあります。
実技演習が大変
初任者研修の「実技演習」では、介護現場を想定し、以下のような訓練を実際に手足を動かして行うことになります。
- ベッドメイキング
- 車いす、歩行の介護
- 衣服の着脱の介護
- 食事の介護や口腔ケア
- 排泄の介助 など
普段行わない動作や力を使う場面もあるため、慣れないうちは苦労することがあります。
特に50代60代で初任者研修にチャレンジしている方の中には、体力的な問題でしんどさを感じている方もいます。
仕事との両立がしんどい
初任者研修は仕事をしながら受講できる「社会人向けコース」も用意されています。しかし、実際に両立させるとなると大変な部分も多いです。
社会人向けのコースでは、週に1日程度(土日が基本)、養成校に通学し、実技演習を受けることになります。実技演習は朝9時頃から夕方17時頃まで行うのが基本であるため、通学がある日は丸々一日、実技演習に費やさなければなりません。
また、通学がない日も、仕事で帰宅した後などに、通信学習を並行して進めておく必要があります。
社会人向けコースに入学すると、こうした生活を3〜4か月程度続けることになります。
週5日フルタイムで働いている社会人の方や、残業の多い職場で働いている人であれば、余計に大変さを感じやすく、研修期間中はプライベートの予定を犠牲にしなければならないこともあるでしょう。
※短期コースもある
1か月程度で修了を目指せる「短期コース」もありますが、通学頻度が増え週2~3程度となります。さらにハードスケジュールになりますので、社会人の場合は現実的にこういった短期コースで学ぶのは難しくなります。
理解が深まることでの辛さ
初任者研修を通じ、介護の知識が増え、介護に対しての理解が深まります。
理解が深まるのは良いことばかりでなく、介護制度の課題、高齢者が抱えている問題、そして介護業務の大変さを垣間見ることにもなります。
実技演習を経験し「本当に自分は介護が行えるのか」と不安や葛藤を感じてしまう人もいます。
そうした介護の現実と向き合わなければならないことも、一つの辛い部分です。
皆が初任者研修を乗り切れる理由
初任者研修の受講者は20代の若い方から60代以上の方まで幅広いです。それでも大半の受講者は初任者研修を乗り越えています。
なぜ皆、大変といわれる初任者研修を乗り切ることができるのでしょう。ここではその理由について解説します。
一緒に学ぶ仲間がいる
初任者研修では、実技演習を受講する上で必ず養成校へ通学し、クラスメイトたちと一緒に実技演習を受けることになります。
初任者研修の受講者は、介護職を目指すだけあって周囲を思いやれる方が多く、年齢層もさまざまであるため、独特の絆が生まれやすいです。
「一緒に学ぶ仲間がいたから乗り切れた」「高齢での受講で不安であったが若いクラスメイトに支えられ頑張ってこれた」といった声も多く、周囲との支え合えも乗り切る力となってくれます。
サポートしてくれる講師の存在がある
養成校での研修ということから「厳しい指導をされるのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
講師にはさまざまなタイプがいるため一括りにはできませんが、初任者研修の講師はどちらかというと穏やかで、わからないところは丁寧に教えてくれるタイプが多いです。
親身になってサポートしてくれる講師が多く、自身の経験なども交えながら楽しく指導してくれるため、そうした講師の存在もしんどい時の支えとなってくれます。
「講師に恵まれ、最後までしっかりサポートしてくれたので頑張れた」という声も多いのです。
研修修了後の自分を想像し励みにする
初任者研修を修了すると、以下のようなさまざまな恩恵が受けられます。
- 介護業務や親族の介護などに活かせる
- 訪問介護の仕事に携われる
- 選考で有利になり、就職先が見つかりやすくなる
- 資格手当などが加算され収入が増えることがある
- 上位資格「実務者研修」の受講科目が一部免除される など
こうした具体的な恩恵があるため、初任者研修を取得したあとの自分を想像することで意欲を高め、しんどくとも乗り切ってしまう人が多いです。
「親の介護に活かすため」「将来訪問介護の仕事がしたい」など、皆がそれぞれの目的をもって初任者研修を受講するかと思います。
しんどい時には、そうした当初の目的意識をいま一度振り返ってみることが大切です。
しんどい時は周りにも目を向けてみよう
以上、初任者研修がしんどいといわれる理由について解説しました。
初任者研修は時間にして130時間、期間としては早くとも1か月、長ければ3〜4か月のあいだ研修が続きます。根気よく継続しなければならず、時には投げ出したくなる時もあるでしょう。
ですが、初任者研修は一人で挑む研修ではなく、周囲には一緒に頑張るクラスメイトや支えてくれる講師もいます。
さらにはSNSやブログなどで初任者研修の模様を綴っている人もいますので、そうした周りの仲間たちから熱量を貰い、意欲を高めていくことも、一つの突破口となってくれるはずです。
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