介護の知識シリーズ 《Ⅰ》医療的ケアの基礎知識

介護の知識シリーズ 《Ⅰ》医療的ケアの基礎知識

介護の知識をシリーズで発信していきます。
このページは《Ⅰ》医療的ケアの基礎知識の一番はじめのページです。

医療的ケアの基礎知識

「喀痰吸引」と「経管栄養」

「医療的ケアの基礎知識」監修によせて

この講習を受ける方は、これら「喀痰吸引」と「経管栄養」について、あまりなじみのない方も多いでしょう。 しかし、この2つの手技は、それを必要とする重度障害者が日々の生活を送るうえで非常に重要です。

私自身、「喀痰吸引」と「経管栄養」に救われた経験があります。 実を言うと、私は医学生の時に脊髄損傷という怪我を負い、首から下がほとんど動かない身体になりました。 さらに、怪我したばかりの時は、一時的に自力で呼吸ができなくなり、気管に穴を開ける「気管切開」という処置を受けて、そこに人工呼吸器を接続して呼吸をしていました。

人工呼吸器が必要な状態になると、自力で痰を外に出すことができなくなります。 そのため、時間がたつと痰が気道にたまってきて、息苦しくなってしまうのです。 そうなったら、看護師さんを呼んで、喀痰吸引をしてもらいます。 吸引してもらっている間はチューブの刺激などで少し咳き込むような感じがありますが、痰の吸引が終わると新鮮な空気が胸に入ってくる感じがして、息苦しさはなくなります。 息苦しさから解放されたあとは、ささやかな至福の時です。

また、この時は気管切開があり、口からものを食べることができませんでした。 そのため、鼻から入れたチューブを通じて栄養剤を入れることで栄養を取っていました。 人間は栄養を取らないと生きていけません。 ましてや、病気や怪我などから回復するためには、栄養が何より大事です。 経管栄養は、命をつなぐチューブなのです。

気管切開をしていた1年間ほどの経験で、現在は気管切開も閉じ、口から食べることもできています。 これも、「喀痰吸引」と「経管栄養」によって命をつないだおかげです。

もちろん、「喀痰吸引」や「経管栄養」を見たことも聞いたこともなかったら、「難しそう」とか「責任重大」と尻込みしてしまう方もいらっしゃると思います。 「誰もが最初は未経験である」ことをしっかりと踏まえ、土屋ケアカレッジでは、講習と実習で丁寧な指導を受けることができます。 しっかりと学んで、経験を重ねていけば、様々な介護現場で役に立ち、喜んでもらえるスキルが、「喀痰吸引」と「経管栄養」になります。

あなたの一歩が、誰かの人生を支え、豊かにします。

ぜひ、その一歩を土屋ケアカレッジと共に! 雪下岳彦

監修

下岳彦

順天堂大学 医学部&スポーツ健康科学部 非常勤講師

1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

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