介護福祉士国家試験の実務経験ルートで必須となる「実務者研修」は、介護のキャリアを積むうえで大切なステップです。しかし、受講費用は決して安くなく、費用がネックで受講をためらう方も少なくありません。
実は、実務者研修の費用は、公的な制度などを使えば一部が返ってきたり、負担を抑えられたりする場合があります。この記事では、費用を抑える5つの方法を紹介します。「学びたいけれど、費用が高くて踏み出せない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 教育訓練給付制度を使うと、講座の指定区分に応じて受講費用の20%〜最大80%が支給されます
- ハローワークの職業訓練なら、受講料は原則無料です(テキスト代等は自己負担)
- 貸付制度・ひとり親向け給付金・勤務先の資格取得支援制度も活用できます
実務者研修の受講料の目安
実務者研修の受講料は、他の介護資格を保有しているかどうかで大きく変わります。スクールによる幅はありますが、一般的な目安は次のとおりです。
| 保有資格 | 受講費用の目安 |
|---|---|
| 無資格 | 約10万〜22万円 |
| 介護職員初任者研修、またはホームヘルパー2級 | 約8万〜19万円 |
| ホームヘルパー1級 | 約7万〜10万円 |
| 喀痰吸引等研修 | 約7万〜10万円 |
| 介護職員基礎研修 | 約3万〜5万円 |
なお、土屋ケアカレッジの実務者研修は、無資格の方で75,000円(税込・テキスト代込み)と、相場より抑えた料金設定です。
実務者研修の費用を抑える5つの方法
実務者研修の費用を抑える方法は、大きく5つあります。
- ハローワークの職業訓練
- 教育訓練給付制度
- 介護福祉士実務者研修受講資金の貸付制度
- ひとり親向けの給付金
- 勤務先の資格取得支援制度
それぞれ紹介していきます。
ハローワークの職業訓練(受講料は原則無料)
ハローワークでは、働くために必要なスキルを身につけられるよう「職業訓練」を行っています。正式には「公的職業訓練」、愛称はハロートレーニングといいます。
職業訓練の大きな特長は、受講料が原則無料であることです(テキスト代などは自己負担。一部有料の訓練もあります)。介護分野のコースでは、実務者研修に対応した訓練が実施されている地域もあります。
職業訓練には2つの種類があり、雇用保険(失業保険)を受給している求職者が主な対象の「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない求職者が主な対象の「求職者支援訓練」があります。誰でも受講できるわけではなく、申し込み後に面接や筆記試験などの選考があります。
ご自身がどちらの対象になるか、お住まいの地域で実務者研修のコースがあるかは、お近くのハローワークにお問い合わせください。職業訓練の詳しい仕組みは実務者研修とハローワークの記事で解説しています。
教育訓練給付制度(20%〜最大80%)
教育訓練給付制度は、雇用保険に一定期間加入している方(または加入していた方)を対象に、厚生労働大臣が指定する講座を修了した際、受講費用の一部が支給される制度です。
給付金には3つの種類があり、受講する講座がどの区分の指定を受けているかで、支給率と上限額が変わります。
| 区分 | 支給率・上限 |
|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円) |
| 特定一般教育訓練 | 受講費用の40%(上限20万円) ※2024年10月以降の受講開始で、資格取得と就業等の要件を満たすと最大50%(上限25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 受講費用の50%(年間上限40万円) ※資格取得と就業等で最大70%、さらに賃金上昇の要件を満たすと最大80%(年間上限64万円) |
実務者研修の講座がどの区分の指定を受けているかは、スクール・講座ごとに異なります。厚生労働省の教育訓練給付制度 検索システムで確認できるほか、受講を検討しているスクールに直接問い合わせるのが確実です。なお、土屋ケアカレッジの実務者研修は一般教育訓練給付の対象で、条件を満たす方は受講費用の20%が支給されます。
いずれの区分も、利用には雇用保険の加入期間などの条件があり、受講前の手続きが必要な場合があります。詳しくはお近くのハローワークでご確認ください。
介護福祉士実務者研修受講資金の貸付制度(返還免除あり)
各都道府県の社会福祉協議会では、介護福祉士を目指す方に実務者研修の受講資金を貸し付ける「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」を実施しています。
貸付額は20万円以内・無利子が一般的です。この制度の大きな特長は返還免除で、修了後に介護福祉士の資格を取得・登録し、その都道府県内で介護等の業務に2年間継続して従事するなどの条件を満たすと、返還が全額免除されます。つまり、条件を満たせば実質的な自己負担なしで受講できる可能性がある制度です。
対象者の条件や申請時期、返還免除の細かな要件は都道府県によって異なります。お住まいの都道府県の社会福祉協議会のサイトでご確認ください。
ひとり親向けの給付金(費用の60%)
ひとり親家庭の母または父の経済的な自立を支援する「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」という制度があります。
このうち自立支援教育訓練給付金では、対象の教育訓練を修了した場合に、受講費用の60%(上限あり)が支給されます。20歳未満の児童を扶養していることや所得水準などの条件があり、運営主体は自治体のため、対象講座や細かなルールは自治体ごとに異なります。
制度の詳細は母子家庭・ひとり親向けの給付金制度の記事で詳しく解説しています。該当する方はあわせてご覧ください。
勤務先の資格取得支援制度
介護施設・事業所によっては、職員の資格取得を支援する制度があり、実務者研修の受講費用の一部または全額を負担してくれる場合があります。
すでに介護の仕事をしている方は、勤務先に資格取得支援制度がないか確認してみましょう。これから就職・転職を考えている方は、求人を選ぶ際に支援制度の有無をチェックするのもおすすめです。詳しくは実務者研修の費用の会社負担の記事で解説しています。
公的制度を利用するときの注意点
公的制度は費用面のメリットが大きい一方で、手続きの時期と条件の確認がとても大切です。
多くの制度では、受講前の申請・事前相談が必要です。手続きの時期を間違えると給付や免除を受けられなくなる場合があるため、講座に申し込む前に、必ずハローワークや自治体、社会福祉協議会などの窓口で確認しましょう。また、職業訓練のように選考(面接・筆記試験)がある制度や、貸付制度のように修了後の就業条件がある制度もあります。
公的制度と勤務先の支援制度は、それぞれ対象や条件が異なります。ご自身の状況(雇用保険の加入状況、求職中かどうか、ひとり親かどうか等)に合わせて、使える制度を組み合わせて検討するのがおすすめです。
よくある質問
実務者研修の費用は、修了後に返ってきますか?
教育訓練給付制度の指定講座であれば、修了後の申請により、受講費用の一部(一般教育訓練の場合は20%・上限10万円)が支給されます。雇用保険の加入期間などの条件がありますので、受講前にハローワークでご確認ください。
働いていなくても使える制度はありますか?
あります。雇用保険を受給できない求職者の方は、ハローワークの求職者支援訓練(受講料は原則無料)を利用できる場合があります。また、介護福祉士を目指す方向けの受講資金貸付制度は、就業状況を問わず申請できる場合があります。詳しくはハローワークや都道府県の社会福祉協議会にお問い合わせください。
制度は組み合わせて使えますか?
制度によって異なります。たとえばひとり親向けの給付金は、雇用保険の教育訓練給付金を受けられる場合はその差額の支給となるなど、併用時の調整ルールがあります。ご自身のケースでどの組み合わせが使えるかは、各制度の窓口で確認するのが確実です。
まとめ:制度を活用すれば、費用の負担は抑えられる
今回は、実務者研修の受講費用を抑える5つの方法を紹介しました。教育訓練給付制度・職業訓練・貸付制度・ひとり親向け給付金といった公的制度と、勤務先の資格取得支援制度。それぞれ対象や条件が異なるため、ご自身の状況に合った制度を確認することが第一歩です。
費用を理由に受講をあきらめる前に、まずは使える制度がないか調べてみてください。実務者研修の補助制度全般については補助制度の記事でも詳しく解説しています。

