実務者研修を受けようと調べはじめると、まず目に入るのが「450時間」という数字です。「そんなに時間が取れるだろうか」「仕事を続けながらでも終わるのか」と、不安になった方も多いのではないでしょうか。
ただ、450時間のすべてを教室で過ごすわけではありません。大部分は自宅で進められますし、お持ちの資格によっては半分以下に減ることもあります。この記事では、450時間の中身と、1日あたりどれくらい学べば修了できるのかを、具体的な数字で整理します。
- 実務者研修は20科目450時間。そのうち通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習だけです。
- お持ちの資格によって科目が免除され、初任者研修・ヘルパー2級をお持ちなら学習期間は約2ヶ月になります。
- 無資格から6ヶ月で修了する場合、1日あたりの学習時間は2時間強が目安です。
実務者研修に必要な勉強時間は450時間
実務者研修のカリキュラムは、20科目・合計450時間と定められています。これは厚生労働省が定めた基準なので、どのスクールで受講しても変わりません。
数字だけを見ると身構えてしまいますが、内訳を知ると印象が変わります。450時間の大部分は自宅で取り組む学習で、スクールに通う時間はごく一部です。
450時間の内訳を4つの分野で紹介
20科目は、大きく4つの分野に分けられます。
| 分野 | 主な科目 |
|---|---|
| 人間と社会 | 人間の尊厳と自立/社会の理解Ⅰ・Ⅱ |
| 介護 | 介護の基本/コミュニケーション技術/生活支援技術/介護過程Ⅰ〜Ⅲ |
| こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解/認知症の理解/障害の理解/こころとからだのしくみ |
| 医療的ケア | 医療的ケア(講義・演習) |
介護の基本から認知症・障害の理解まで、現場で必要になる知識を体系的に学びます。初任者研修が9科目130時間なので、学習量はおよそ3.5倍です。
通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習
450時間のうち、スクールに通う必要があるのは「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア(演習)」の2つだけです。残りはテキストを使った自宅学習で進められます。
介護過程Ⅲは45時間と定められており、通学日数にすると5日程度です。医療的ケアの演習には時間数の規定がなく、スクールによって異なりますが、2日程度で実施するところが多くなっています。合わせて7日前後というのが一つの目安です。
つまり、450時間のうち通学は7日程度、それ以外の400時間ほどは自宅で自分のペースで進められる、というのがカリキュラムの実態です。
保有資格でどれだけ短くなる?
すでに介護の資格をお持ちの場合、重複する科目が免除され、学習時間も期間も短くなります。免除の範囲は保有資格によって決まっています。
無資格の場合
免除される科目はなく、20科目450時間をすべて受講します。標準的な学習期間は約6ヶ月です。
介護の経験がない方でも問題なく受講できます。難易度の高い入学試験のようなものはなく、各科目の課題に取り組みながら順を追って学んでいく形です。
初任者研修・ヘルパー2級をお持ちの場合
初任者研修の130時間分が免除され、受講が必要なのは320時間になります。標準的な学習期間は約2ヶ月です。
免除されるのは「人間の尊厳と自立」「介護の基本」などの基礎科目です。介護過程Ⅲと医療的ケアは免除されないため、通学の日数は無資格の方とほぼ変わりません。
ヘルパー1級・介護職員基礎研修をお持ちの場合
ヘルパー1級をお持ちの場合は95時間の受講で済み、標準的な学習期間は約2ヶ月です。介護職員基礎研修を修了している方は、医療的ケアのみの受講となり、50時間・約1ヶ月まで短縮できます。
| 保有資格 | 受講時間 | 標準的な学習期間 |
|---|---|---|
| 無資格 | 450時間 | 約6ヶ月 |
| 初任者研修・ヘルパー2級 | 320時間 | 約2ヶ月 |
| ヘルパー1級 | 95時間 | 約2ヶ月 |
| 介護職員基礎研修 | 50時間 | 約1ヶ月 |
免除の範囲や期間はスクールによって運用が異なる場合があります。土屋ケアカレッジの保有資格別の学習期間と受講料は、講座ページでご確認いただけます。
できるだけ早く修了したい方は、実務者研修は最短どれくらい?期間の目安と早く修了するコツもあわせてご覧ください。
1日あたりどれくらい勉強すればいい?
「450時間」を1日あたりに割り戻すと、思ったより現実的な数字になります。ここでは無資格の方が6ヶ月で修了する場合を例に計算してみます。
無資格から6ヶ月で修了する場合
自宅学習の分量は、450時間から通学分(45時間+演習)を引いた400時間前後です。これを6ヶ月=約180日で割ると、1日あたり2時間強という計算になります。
毎日2時間と聞くと大変に感じるかもしれませんが、テキストを読む時間や課題に取り組む時間の合計です。まとまった時間を確保できる日に多めに進めておけば、忙しい日は短くても問題ありません。
働きながら進めるときの目安
仕事をしながら受講する場合は、平日と休日で配分を変えるのが現実的です。
| 配分の例 | 平日 | 休日 |
|---|---|---|
| 平日を軽めにする場合 | 1日1時間 | 1日5〜6時間 |
| 毎日均等に進める場合 | 1日2時間 | 1日3時間 |
いずれも6ヶ月で400時間前後に届く配分です。ご自身の勤務形態に合わせて、続けやすいほうを選んでください。
長期間モチベーションを保つのが難しいという方は、休日にまとめて進める短期集中型も一つの方法です。仕事との両立のコツは働きながら実務者研修を修了するコツでくわしく紹介しています。
勉強時間を確保する3つのポイント
修了できるかどうかは、学習の速さより「続けられるか」で決まります。時間を確保するために意識したいことを3つ挙げます。
学習する時間帯を決めてしまう
「空いた時間にやろう」と考えていると、忙しい日が続いたときに手が止まります。出勤前の30分、帰宅後の1時間というように、生活のリズムの中に組み込んでしまうほうが続きます。
スキマ時間をテキストを読む時間にあてる
課題に取り組むにはある程度まとまった時間が要りますが、テキストを読むだけなら通勤中や休憩中でもできます。読む作業と書く作業を分けておくと、細切れの時間も無駄になりません。
通いやすさと振替の仕組みで選ぶ
通学日にどうしても行けなくなることは、働きながらだと珍しくありません。振替受講ができるか、費用がかかるかは、修了まで続けられるかを左右します。
土日コースや夜間コースの有無、振替受講の仕組みはスクールによって異なります。通学日程と振替受講の仕組みもあわせて比較してみてください。
医療的ケアで学ぶことと、現場で実施するまでの流れ
実務者研修で学ぶ「医療的ケア」は、喀痰吸引(たんの吸引)と経管栄養の基礎知識と演習です。初任者研修にはない科目で、実務者研修の大きな特徴といえます。
演習では、看護師の資格を持つ講師の指導のもと、シミュレーターを使って手順を学びます。口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の吸引、胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養など、それぞれの手順を繰り返し実施します。
実務者研修で学ぶのは基礎知識と演習までです。介護職員が実際に喀痰吸引や経管栄養を行うには、次の手順が必要です。
- 実務者研修を修了する(医療的ケアの基本研修部分が免除されます)
- 別途「喀痰吸引等研修」の実地研修を、指導看護師のもとで修了する
- 都道府県へ「認定特定行為業務従事者」として登録し、認定証の交付を受ける
- 勤務先の事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県に登録する
研修を修了しただけで現場での実施が認められるわけではない点に、ご注意ください。
よくある質問
450時間すべてスクールに通う必要がありますか?
いいえ。通学が必要なのは介護過程Ⅲ(45時間)と医療的ケアの演習だけで、日数にすると7日程度が目安です。残りの400時間前後はテキストを使った自宅学習で進められます。
働きながらでも450時間の学習は終わりますか?
終わります。無資格の方が6ヶ月で修了する場合、自宅学習は1日2時間強が目安です。平日1時間・休日5〜6時間といった配分にすれば、勤務を続けながらでも無理なく進められます。
初任者研修を修了していると、どれくらい短くなりますか?
130時間分が免除され、受講が必要なのは320時間になります。標準的な学習期間は約2ヶ月です。ただし介護過程Ⅲと医療的ケアは免除されないため、通学の日数はほとんど変わりません。
まとめ:450時間の中身がわかれば、計画は立てられる
実務者研修に必要な学習時間は20科目450時間ですが、そのうち通学は7日程度で、残りは自宅学習です。お持ちの資格によっては320時間、95時間、50時間まで短縮され、学習期間も約2ヶ月や約1ヶ月になります。
無資格から6ヶ月で修了する場合の目安は、1日2時間強。平日と休日で配分を変えれば、働きながらでも十分に届く数字です。時間の総量だけを見て身構えるより、内訳を知って計画を立てるほうが、修了までの道のりははっきりします。

