「実務者研修は通信で受けられる」という話を聞いて、自宅だけで完結すると思った方もいるかもしれません。働きながら資格を目指すなら、通学なしで済むならそれに越したことはないはずです。
結論からお伝えすると、実務者研修を通信だけで修了することはできません。ただし、通学が必要なのはごく一部です。この記事では、どこまでが自宅学習で、どこからが通学なのかを科目単位で整理し、スクールを選ぶときに何を確認すればいいかまでご案内します。
- 実務者研修は通信のみでは修了できません。介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は通学が必要です
- 通学が必要なのは7日程度。残りの科目は自宅で自分のペースで進められます
- 自宅学習の進め方はスクールによって異なります。紙教材のところもあれば、オンライン教材のところもあります
結論|実務者研修は通信だけでは修了できない
実務者研修は、ほとんどの科目を自宅学習で進められますが、通学が必須の科目があります。そのため「通信のみ」で修了することはできません。
通学が必要なのは「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア(演習)」の2つです。いずれも実際に体を動かして学ぶ科目で、テキストを読むだけでは到達目標に届かないため、対面での実施が求められています。
介護過程Ⅲで行うこと
特定の疾患や状態を持つ方の事例をもとに、どのような介護が必要か、どんなリスクがあるかを分析し、計画を立てて実施する流れを学びます。受講者同士のグループワークで意見を出し合いながら進めるため、対面での授業が必要です。
医療的ケアの演習で行うこと
喀痰吸引(たんの吸引)と経管栄養の手順を、シミュレーターを使って実施します。喀痰吸引は、自力で痰を出せない方に対して、鼻や口、気管カニューレから管を通して吸引する方法です。経管栄養は、口から食事が摂れない方に対して、胃や腸から栄養剤を注入する方法です。
いずれも一定回数以上の演習を行うことが定められており、講師の指導のもとで繰り返し練習します。
通学の日数は7日程度が目安
介護過程Ⅲは45時間と定められており、日数にすると5日程度です。医療的ケアの演習には時間数の規定がなく、スクールによって異なりますが、2日程度で実施するところが多くなっています。
合わせて7日前後というのが一つの目安です。450時間のうち通学は7日、残りの400時間ほどは自宅で進められる、というのがカリキュラムの実態になります。
自宅学習で進められる科目と、通学が必要な科目
20科目のうち、通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習部分だけです。科目ごとの時間数は次のとおりです。
| 科目 | 時間 | 学習方法 |
|---|---|---|
| 人間の尊厳と自立 | 5時間 | 自宅学習 |
| 社会の理解Ⅰ | 5時間 | 自宅学習 |
| 社会の理解Ⅱ | 30時間 | 自宅学習 |
| 介護の基本Ⅰ | 10時間 | 自宅学習 |
| 介護の基本Ⅱ | 20時間 | 自宅学習 |
| コミュニケーション技術 | 20時間 | 自宅学習 |
| 生活支援技術Ⅰ | 20時間 | 自宅学習 |
| 生活支援技術Ⅱ | 30時間 | 自宅学習 |
| 発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 | 自宅学習 |
| 発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | 自宅学習 |
| 認知症の理解Ⅰ | 10時間 | 自宅学習 |
| 認知症の理解Ⅱ | 20時間 | 自宅学習 |
| 障害の理解Ⅰ | 10時間 | 自宅学習 |
| 障害の理解Ⅱ | 20時間 | 自宅学習 |
| こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | 自宅学習 |
| こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | 自宅学習 |
| 介護過程Ⅰ | 20時間 | 自宅学習 |
| 介護過程Ⅱ | 25時間 | 自宅学習 |
| 介護過程Ⅲ | 45時間 | 通学 |
| 医療的ケア | 50時間 | 講義は自宅学習/演習は通学 |
初任者研修やホームヘルパー資格をお持ちの場合は、一部の科目が免除されます。ただし介護過程Ⅲと医療的ケアは免除されないため、通学の日数は変わりません。
自宅学習には課題の提出があります
自宅学習で進めた科目については、内容が身についているかを確認するための課題を提出します。難易度が高いものではなく、テキストを読んで学習していれば取り組める内容です。
提出内容に不足があれば再提出になりますので、丁寧に取り組みましょう。提出方法はスクールによって異なり、通学日にまとめて提出する場合もあれば、郵送や専用システムを使う場合もあります。自宅からスクールが遠い方は、この点も確認しておくと安心です。
「オンライン完結」の講座はある?
自宅学習の進め方はスクールによって異なります。ここは誤解が生じやすい部分なので、整理しておきます。
スクールによって教材の形が違う
「通信」と一口に言っても、紙のテキストを使うスクールもあれば、オンライン教材で学習を進めるスクールもあります。どちらの形であっても、介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は通学が必要という点は共通です。
つまり、「オンラインで完結する実務者研修」は存在しません。オンライン講座と紹介されているものも、実際には自宅学習の部分がオンラインになっているだけで、通学は必ず発生します。
土屋ケアカレッジは紙教材による自宅学習です
土屋ケアカレッジの実務者研修は、通学初日にお渡しする紙のテキストを使った自宅学習と、通学(スクーリング)を組み合わせて進めます。オンライン教材やeラーニングは使用していません。
ご自身が学習しやすい形はどちらか、申し込み前に確認しておくとミスマッチを防げます。学習の進め方と通学日程は講座ページでご確認いただけます。
自宅学習を中心に進める3つのメリット
通学が最小限であることには、はっきりした利点があります。
1|自分のペースで進められる
実務者研修は働きながら受講する方が大半です。すべて通学だとしたら、勤務のあいだを縫って何十日も通うことになり、現実的ではありません。
自宅学習が中心なら、仕事終わりや休日の空いた時間に少しずつ進められます。時間の使い方を自分で決められることが、両立できる最大の理由です。
2|通学にかかる費用と時間を抑えられる
スクールが自宅から遠い場合、通学のたびに交通費や駐車料金がかかります。無資格の方は修了まで約6ヶ月かかりますから、この期間ずっと通うとなれば負担は小さくありません。
通学が7日程度であれば、交通費も移動時間も大きく抑えられます。
3|繰り返し学び直せる
決まった時間に一度きり講義を聞く形と違い、自宅学習は分からないところを何度でも読み返せます。理解に時間がかかる科目は時間をかけ、得意な科目は早く進めるといった調整もできます。
自宅学習を中心に進める3つのデメリット
一方で、自宅学習には向き不向きがあります。受講前に知っておきたい点を挙げます。
1|自己管理が必要になる
時間割が決まっている通学と違い、いつ何を学ぶかを自分で決めなければなりません。「今日は疲れたから明日にしよう」が続くと、修了までのスケジュールが崩れます。
自己管理が苦手な方は、学習する時間帯をあらかじめ決めて生活リズムに組み込んでしまうのが現実的です。1日あたりの目安は実務者研修の勉強時間で解説しています。
2|その場ですぐに質問できない
分からないことが出てきても、自宅学習中はその場で解決できません。疑問をメモしておき、通学日に講師へ質問する形になります。
質問できる機会がいつあるのか、通学日以外にも問い合わせ窓口があるのかは、スクール選びのときに確認しておきたいポイントです。
3|一緒に学ぶ仲間が見えにくい
自宅で一人で進めるため、他の受講者の様子が分かりません。同じ目標を持つ仲間がいると励みになりますが、その実感は得にくくなります。
ただし通学日にはグループワークがあり、他の受講者と関わる機会があります。同じ職種の方と情報交換ができたことを、受講後の収穫として挙げる方も少なくありません。
スクール選びで確認したい5つのポイント
自宅学習が中心だからこそ、確認しておきたい項目があります。
1|自分が受講できる対象か
実務者研修そのものに受講資格はなく、無資格・未経験の方でも受講できます。ただしスクールによっては、コースごとに「初任者研修修了者向け」といった条件を設けていることがあります。ご自身の保有資格でどのコースに申し込めるか、確認しておきましょう。
2|通学の場所と日程
通学が必要なのは7日程度ですが、その7日は必ず教室に行く必要があります。自宅や職場から通える距離か、勤務のシフトと日程が合うかを確認してください。
働きながら受講する方は、土日コースや夜間コースの有無も判断材料になります。
3|課題の提出方法
提出方法はスクールによって異なります。通学日にまとめて提出できるのか、郵送が必要なのか。自宅からスクールが遠い場合は、提出のたびに足を運ぶ形だと負担になります。
4|質問できる体制があるか
自宅学習では疑問がその場で解決できないため、サポート体制は重要です。通学日に講師へ質問できるか、電話やメールで問い合わせられるかを確認しておきましょう。
5|振替受講ができるか、費用はかかるか
通学予定の日に急な仕事が入る、子どもが体調を崩す。働きながら受講していれば起こりうることです。
振替受講ができるスクールなら、欠席がそのまま「修了できない」につながりません。振替の可否だけでなく、費用がかかるか、別のコースや別の教室へ振り替えられるかまで確認しておくと安心です。
土屋ケアカレッジでは、別コース・別教室への振替受講に無料で対応しています(振替先コースの空席状況・日程によりご希望にそえない場合があります)。
保有資格で学習期間はどう変わる?
すでに介護の資格をお持ちの場合、科目が免除され、学習期間が短くなります。
| 保有資格 | 受講時間 | 標準的な学習期間 |
|---|---|---|
| 無資格 | 450時間 | 約6ヶ月 |
| 初任者研修・ヘルパー2級 | 320時間 | 約2ヶ月 |
| ヘルパー1級 | 95時間 | 約2ヶ月 |
| 介護職員基礎研修 | 50時間 | 約1ヶ月 |
免除される範囲や期間の運用はスクールによって異なる場合があります。土屋ケアカレッジの保有資格別の学習期間と受講料は、講座ページでご確認いただけます。
よくある質問
通信のほうが受講料は安いですか?
実務者研修は通信(自宅学習)と通学を組み合わせるのが標準の形なので、「通信コース」と「通学コース」で料金が分かれているわけではありません。受講料の差は、スクールごとの設定と保有資格による免除の範囲で決まります。テキスト代や修了証明書の発行費用が受講料に含まれているかもあわせて確認してください。
自宅学習の課題が終わらなかったらどうなりますか?
提出内容に不足があれば再提出になりますが、そこで修了できなくなるわけではありません。実務者研修は受講者を選抜する場ではなく、到達目標に達しているかを確認する仕組みです。統一された修了試験が法令で定められているわけでもありません。分からない箇所は通学日に講師へ質問しながら進めてください。
働きながらでも7日間の通学は可能ですか?
可能です。土日コースを設けているスクールが多く、一部の教室では仕事終わりに通える夜間コースを開講しているところもあります。急なシフト変更に備えて、振替受講の仕組みがあるスクールを選んでおくとより安心です。
まとめ:通信だけでは修了できないが、通学は7日程度
実務者研修は、20科目450時間のうちほとんどを自宅学習で進められますが、介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は通学が必要です。「通信のみ」「オンライン完結」の実務者研修は存在しません。
とはいえ通学は7日程度で、残りは自分のペースで進められます。働きながら修了している方が大勢いるのは、この仕組みがあるからです。
自宅学習が中心である以上、続けられるかどうかは自己管理と、スクールのサポート体制で決まります。通学の場所と日程、課題の提出方法、質問できる体制、振替受講の有無。この4点を確認したうえで選べば、修了までの見通しが立ちやすくなります。
仕事との両立のコツは働きながら実務者研修を修了するコツもあわせてご覧ください。

