実務者研修とはどんな資格?難易度は高い?実務者研修を受ける5つのメリット

介護に携わると「実務者研修」という言葉を聞きますが、「実際はどういった資格(研修)なのかよく分からない」という人も多いでしょう。実務者研修を受けることで、質の高い介護サービスが提供できるようになったり、仕事の幅が広がったりと、様々なメリットがあります。

今回は、実務者研修とはどんな資格なのか、実務者研修を受けるメリットや難易度について解説します。

実務者研修とはどんな資格?

実務者研修は質の高い介護サービスを提供できるよう、幅広い知識と技術を学び身につけることができる資格(研修)です。

実務者研修は介護福祉国家試験を受験するために必要な研修で、介護職員初任者研修の上位資格になります。実務者研修のカリキュラムは20科目あり、時間数にすると450時間の研修になります。

実務者研修の受講方法

実務者研修は専門のスクールで受ける必要があり、通学講座と通信講座の2パターンがあります。通学講座はスクールに通い授業を受け、通信講座はインターネットを介して授業を受けます。
通信講座を受けていても演習が必須のカリキュラムがあるため、その際は通学しないといけません。

実務者研修の受験資格

実務者研修は誰でも受けることができ、介護の経験がない人でも受講可能です。学歴・年齢を問わず幅広い年代の方が研修を受講されています。ただし、スクールによっては16歳以上と年齢が決められていたり、未成年だと保護者の同意が必要な場合もあります。未成年の方は、スクールの受講条件を必ずチェックしましょう。

実務者研修の難易度

実務者研修は、研修内容が難しいというより、研修時間の確保が難しいと言われています。働きながら実務者研修を受ける方も多くいますが、仕事終わりの受講に加え、休日も時間を割いて研修を受けるとなると想像以上に大変です。

通信講座もありますが、演習が必須カリキュラムに組み込まれているため、その場合は通学もしないといけません。普段、通信講座を受講している方の中には、通学の日程が中々組みにくいという方もいます。

時間の確保さえできれば、研修内容はそこまで難しくありません。実務者研修では、介護の初歩的なことから介護技術まで学ぶことができます。介護に携わっていない方には難しく感じるかもしれませんが、繰り返し学べるようにカリキュラムが組まれているため習得しやすい内容となっています。

実務者研修の免除制度

保有資格によって実務者研修が免除される場合があります。

介護職員初任者研修、ホームヘルパー1級、2級、3級、介護職員基礎研修の資格を取得されている方は、実務者研修の一部が免除されます。そのため、すでに上記に当てはまる資格をお持ちの方は比較的簡単に実務者研修を修了することができます。

実務者研修と初期研修の違い

実務者研修は20科目450時間、初期研修は9科目130時間です。その差を比べてみると、実務者研修は科目数については11科目増、時間数は320時間増と大きな違いがあります。

実務者研修ではより豊富な介護知識と技術が学べます。そのため初期研修よりも上位の資格と言われています。

介護福祉士国家試験の受験が2回目以降の方はインターネットから申し込みができます。受験の手引きを請求する必要はありません。インターネットで必要情報を入力し、受験料を支払うと申し込みが完了します。以下で詳細を説明します。

実務者研修を修了するために必要な期間

実務者研修の授業は、20科目でトータル450時間必要となります。そのうち、「介護過程Ⅲ」「医療的ケア」は演習が必要な科目で、普段通信で受講している方も通学が必要となります。

実務者研修を修了するためにかかる期間は、介護関連の資格を何も取得していない方の場合、最短でも6ヶ月はかかります。実務者研修が一部免除となる資格をお持ちの方は、保有する資格によって受講期間が短縮となります。

実務者研修を受ける5つのメリット

実務者研修を受けるメリットは5つあります。

  1. 介護福祉士国家試験の受験資格が得られる
  2. 高度な専門知識・技術が取得できる
  3. 給料がアップする
  4. 働く場所が広がる
  5. サービス責任者になれる

    5つのメリットを具体的に紹介します。

1.介護福祉士国家試験の受験資格が得られる

介護福祉国家試験を受験する際、実務者研修を修了していることが必須条件になります。介護福祉士国家試験を受験するためには、実務者研修に加えて、さらに介護の現場での実務経験が3年必要です。

国家資格である「介護福祉士」と「介護士」では業務上大きな差が生じます。介護士という資格は無く、介護の仕事に携わる方を総称して「介護士」といいます。一方、「介護福祉士」になると、業務の幅が広くなり、働く場所も選択肢が増えます。介護福祉士の資格が取りたい方は、実務者研修を受けましょう。

2.高度な専門知識・技術が習得できる

実務者研修では痰の吸引、経管栄養といった医療技術が習得できます。痰の吸引とは、自力で痰が排出できない方に、口や鼻、気管から吸引機の管を入れて、痰を取る方法です。経管栄養とは、口から食事が摂れない方に対し、胃や腸のチューブから栄養剤を注入する技術です。

実務者研修の介護過程では様々な事例が設定されており、利用者さんにどのようなリスクがあるのか、どのような介護が必要なのかを展開します。


3.給料がアップする

実務者研修を修了すると給料がアップするケースが多いです。
以下は令和3年の介護職員の平均給与額等の表です。

引用)厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03kekka.pdf

実務者研修を修了した方は、保有資格がない方・介護職員初任者研修を修了した方と比較すると給料が高い傾向があります。上の表に掲載されているのは月の平均給与額ですが、年単位になるとさらに給料の差は広がります。先の給料のことを考えても実務者研修を受けるのは大きなメリットと言えます。

4.働く場所が広がる

実務者研修を修了すると、携われる介護業務が増えるため、働く場所が一気に広がります。老人ホーム、グループホーム、デイサービスや訪問看護事業所など、様々な場所で求められる技術です。実務者研修は多くの方が修了しているわけではないので、希少性が高く、持っていると転職の際に有利となる場合が多いです。

5.キャリアアップできる

実務者研修を修了すると、サービス提供責任者の求人にも応募可能になります。サービス提供責任者とはケアマネジャー・ヘルパーとの調整をするコーディネーター業務をする人のことを言います。訪問介護事業所では、利用者40人に対してサービス提供責任者を1人配置するという義務があるため、ニーズが高まっています。

実務者研修とは質の高い介護サービスが提供できるようになる研修

今回は実務者研修の概要と受けるメリットについて説明しました。

日本は超後期高齢社会のため介護のニーズはどんどん高まっています。その中でも、質の高いサービスを提供できる介護職員はより一層重宝されます。実務者研修は介護の豊富な知識を習得し、現場で活かすことができます。

また、実務者研修を修了することで、働く場所の選択肢が広がり、給料アップやキャリアアップに繋がるといったメリットが多くあります。

しかし、実務者研修は研修内容よりも時間の確保が最大の難点です。そのため、実務者研修を受講する際には、自分自身で時間管理や環境管理を行うとともに、「介護事業所が資格取得のサポートをしてくれる」ことが大切になります。実務者研修を受講する職員に対して、勤務調整などを行なってくれる介護事業所もあります。そのような環境下であれば、実務者研修の勉強もはかどり、体力面での負担も軽くなるでしょう。


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