50代に入ってから実務者研修の受講を考えたとき、多くの方が最初に思うのは「この年齢で今から始めて大丈夫だろうか」ということではないでしょうか。周りは若い人ばかりではないか、6ヶ月の学習をやり遂げられるか。年齢が壁のように感じられるかもしれません。
結論からお伝えすると、50代での受講は珍しいことではありません。この記事では、公的なデータをもとに実際の年齢層を示したうえで、50代で受講するときに気をつけたいポイントを整理します。
- 介護福祉士国家試験の合格者のうち、51〜60歳は19.9%。5人に1人が50代です
- 実務者研修に年齢の上限はありません。60代・70代の受講者がいるスクールもあります
- 通学は7日程度。残りは自宅学習なので、自分のペースで進められます
50代で実務者研修を受ける人はどれくらいいる?
結論から言えば、50代の受講は珍しくありません。まずは公的なデータで実際の年齢層を確認します。
介護福祉士国家試験の合格者のうち、5人に1人が50代
実務者研修は介護福祉士国家試験の受験要件です。そのため、国家試験の合格者の年齢分布を見ると、実務者研修を修了した層の年齢がある程度つかめます。
以下は、第38回(2026年1月実施)介護福祉士国家試験の合格者の年齢分布です。
| 年齢区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| ~20歳 | 3,702人 | 6.7% |
| 21~30歳 | 15,727人 | 28.6% |
| 31~40歳 | 10,043人 | 18.3% |
| 41~50歳 | 11,970人 | 21.8% |
| 51~60歳 | 10,927人 | 19.9% |
| 61歳~ | 2,618人 | 4.8% |
| 計 | 54,987人 | 100.0% |
出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」(参考資料)
51〜60歳は19.9%で、合格者の約5人に1人です。31〜40歳(18.3%)を上回っており、41〜50歳(21.8%)ともほとんど差がありません。50代で介護福祉士を目指すことは、統計的にもごく一般的な選択だとわかります。
さらに61歳以上も2,618人(4.8%)います。年齢を理由に諦める必要はないことが、数字からも読み取れます。
実務者研修の保有者にも40代・50代が多い
公益財団法人介護労働安定センターの調査では、保有資格別の年齢層も集計されています。実務者研修の保有者の年齢分布は次のとおりです。
| 年齢 | 割合 |
|---|---|
| 20歳以上25歳未満 | 2.4% |
| 25歳以上30歳未満 | 7.4% |
| 30歳以上35歳未満 | 9.3% |
| 35歳以上40歳未満 | 11.6% |
| 40歳以上45歳未満 | 13.0% |
| 45歳以上50歳未満 | 14.3% |
| 50歳以上55歳未満 | 13.3% |
| 55歳以上60歳未満 | 10.0% |
| 60歳以上65歳未満 | 6.2% |
| 65歳以上70歳未満 | 3.6% |
| 70歳以上 | 1.5% |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」表Ⅷ-4(2)②
50代(50歳以上60歳未満)を合計すると23.3%で、40代(27.3%)に次いで高い割合です。20代や60代と比べると、40代・50代が中心層であることがうかがえます。
なお、これは「保有している人」の現在の年齢であり、受講したときの年齢ではありません。その点は差し引いて見る必要がありますが、それでも中高年層が厚いことは読み取れます。
受講に年齢の制限はある?
実務者研修の受講に、年齢の上限はありません。50代はもちろん、60代・70代でも受講できます。
実務者研修には受講資格そのものがなく、無資格・未経験の方でも申し込めます。学歴や職歴も問われません。
下限についても法令上の定めはありませんが、スクールによっては「16歳以上」といった条件を設けていることがあります。これはスクール側が独自に定めているルールで、公的に決められているものではありません。
実際、多くのスクールで50代の受講者を受け入れており、60代・70代の方が学んでいるスクールもあります。介護職全体の平均年齢が高い職種であることも、その背景にあります。
50代から介護の仕事を始める方もいます
「50代で他業種から介護職に転職し、実務者研修も受講することになった」「子育てが落ち着いたタイミングで介護の仕事を始めた」という方は少なくありません。
介護は未経験からの転職者が多い分野です。実務者研修の教室にも、さまざまな経歴の方が集まります。
50代で受講するときに気をつけたい3つのこと
年齢が壁になることはありませんが、押さえておくと進めやすくなるポイントがあります。
1|幅広い年代の受講者と一緒に学ぶ
通学日には、20代から60代まで幅広い年代の受講者が集まります。介護過程Ⅲの授業ではグループワークがあるため、年齢の離れた方と一緒に取り組む場面も出てきます。
ただ、受講者は世代が違っても同じ目標を持つ仲間です。「若い方から刺激をもらった」「一緒に学ぶ仲間がいたから最後まで続けられた」という声も多く聞かれます。職場以外で同じ立場の人と話せる機会は、思わぬ収穫になることもあります。
2|学習期間は約6ヶ月。計画を立てて進める
無資格から受講する場合、カリキュラムは450時間、標準的な学習期間は約6ヶ月です。この間、帰宅後や休日に自宅学習を続けることになります。
とはいえ、通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習だけで、日数にすると7日程度です。残りは自宅で自分のペースで進められます。1日あたりの目安は2時間強で、平日は短く休日にまとめて進める、といった配分も可能です。
学習時間の目安は実務者研修の勉強時間で詳しく解説しています。仕事と両立するコツは働きながら実務者研修を修了するコツもあわせてご覧ください。
すでに初任者研修やヘルパー資格をお持ちであれば、科目が免除されて学習期間は約2ヶ月まで短くなります。ご自身の保有資格でどれだけ短縮できるかは、保有資格別の学習期間と受講料で確認できます。
3|集中できる学習環境を用意する
「家族が同居していて家では勉強しにくい」「自宅で机に向かうのは学生時代以来で慣れない」という声もあります。自宅学習が中心である以上、環境づくりは修了までの進み方を左右します。
自宅で集中しにくい場合は、図書館やカフェ、コワーキングスペースなど、外の場所を使う方法もあります。スクールによっては実習室を開放しているところもあるので、確認してみてください。
自分が集中しやすい場所を早めに見つけておくと、6ヶ月の学習がぐっと進めやすくなります。
50代で修了すると、どんな道が開ける?
実務者研修の修了は、その先のキャリアにつながります。
介護福祉士国家試験を受験できる
実務経験3年(従事日数540日)以上と実務者研修の修了で、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。前述のとおり、51〜60歳の合格者は約2割を占めており、50代での受験は一般的です。
サービス提供責任者になれる
訪問介護事業所のサービス提供責任者は、実務者研修の修了が要件のひとつです。以前は初任者研修修了者で3年以上の実務経験があればなれましたが、この要件は2019年3月末で終了しています。現在は実務者研修の修了が事実上の最低ラインです。
修了後にどんな道があるかは実務者研修を修了すると何ができる?で詳しく解説しています。
よくある質問
50代から実務者研修を受けるのは遅いですか?
遅くありません。介護福祉士国家試験の合格者のうち51〜60歳は19.9%で、約5人に1人が50代です。61歳以上の合格者も2,618人います。実務者研修の受講に年齢の上限もありません。
介護の経験がなくても受講できますか?
受講できます。実務者研修に受講資格はなく、無資格・未経験の方も対象です。ただし無資格の場合、修了までの標準的な学習期間は約6ヶ月です。基礎から段階的に学びたい方は、介護職員初任者研修(130時間)から始める方法もあります。
体力に不安がありますが、通学は大変ですか?
通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習で、日数にすると7日程度です。実技の演習はありますが、体力を競うものではなく、手順を確認しながら進めます。無理のないペースで取り組んでいただけます。
まとめ:50代は決して少数派ではない
介護福祉士国家試験の合格者のうち、51〜60歳は19.9%。約5人に1人が50代です。実務者研修の保有者を見ても40代・50代が中心層で、60代以上の方も一定数います。年齢を理由に諦める必要はありません。
学習期間は無資格から約6ヶ月ですが、通学は7日程度で、残りは自宅で自分のペースで進められます。集中できる環境を早めに用意し、無理のない計画を立てれば、働きながらでも修了を目指せます。
介護の仕事は体力を使います。焦らず、体調を整えながら、ご自身のペースで進めていってください。

