現在、介護の仕事をしており(もしくは他業界の仕事をしており)、働きながら実務者研修の取得を目指したい方もいらっしゃるでしょう。
実務者研修は研修時間が長く、通学でのスクーリング授業も発生する資格ですが、働きながら受けることは可能なのでしょうか。
今回は仕事と両立しながら実務者研修を受講する方法や受講のイメージについて、注意点を交えつつ解説します。
実務者研修は働きながら受けることは可能なのか
結論からいえば、実務者研修は働きながら受けられます。
民間のスクールが実施している実務者研修の講座では、「社会人向けのコース」や「夜間・休日コース」などが用意されていることが多いです。また「通信」での学習が可能なスクールも多く、過半数の科目を自宅で学習することができるため、仕事をしている方であっても融通が利きやすいのです。
実際に、実務者研修の受講生の中には、日中働いている社会人の方も少なくありません。
例外としてハローワークでは働きながらの取得は難しい
民間のスクールだけでなく「ハローワーク(職業安定所)」でも、ハローワークトレーニング(職業訓練)として実務者研修を開催しています。
ハローワークトレーニングとして受講する場合は、基本的に毎日、昼間の通学が必要となるため、仕事をしながら受講するのは現実的に難しいです。
実務者研修の研修時間
実務者研修を働きながら受ける場合、「研修時間」についてよく把握しておく必要があります。
厚生労働省により、実務者研修における研修時間は以下のように定められています。
保有資格 | 研修時間 |
---|---|
無資格者 | 450時間 |
ホームヘルパー3級 | 420時間 |
介護職員初任者研修 | 320時間 |
ホームヘルパー2級 | 320時間 |
ホームヘルパー1級 | 95時間 |
介護職員基礎研修 | 50時間 |
※加えて、これとは別に「医療的ケア」の演習が必要
実務者研修の場合、関連資格を保有していれば、一部科目が免除されるため、研修時間も短くなります。
一方、関連資格を保有してない無資格者であれば、450時間以上の研修時間が必要になります(教育期間としては、6か月以上の受講が必要)。
この定められた研修時間については、基本的に短縮することはできず、450時間であれば450時間分漏れなく学ぶ必要があります。
6か月では終わらないことも
受講スケジュールについては、厳しい制限を設けず、自分のペースで進められるスクールが多いです。
そのため、仕事の状況をみながらペース配分を調整することはできますが、自由度が高い分、後回しにしていると期間が長引きやすいです。
「最短6か月コース」と謡っている講座を受講していたとしても、実際のところ、働きながらでは6か月で修了できないことが多く、修了まで1年以上掛かることもあります。
「通信」と「通学」の学習イメージ
民間のスクールでは、「通信」での学習が可能なスクールが多いです。
働きながら実務者研修を受ける場合は、通信と通学を併用し、学習を進めていくのが一般的です。
ここでは、それぞれの学習イメージについて解説します。
時間配分
「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア」の2科目については、スクーリング授業として受講することが厚生労働省より定められていますので、必ず通学しなければなりません。
それ以外の科目については、通信学習が認められており、多くのスクールでは通信で学べる仕組みが整えられています。
学習方法 | 学習内容 |
---|---|
通学(スクーリング授業) | 介護過程Ⅲ(45時間)+医療的ケア |
通信 | 上記以外の科目(405時間) |
通信の学習イメージ
通信学習用の教材が自宅に届きますので、教材を使い学習をしていくことになります。
紙面のテキストを使った「テキストタイプ」、パソコンやスマホを使った「WEB学習タイプ」など、教材のタイプを選べるスクールもあります。
通信学習は、自宅、カフェ、図書館など自分の好きな場所で行え、勉強するタイミングや一日の勉強時間も自分で決められます。
働いている人の場合は、帰宅後から就寝までの時間や、休日の自由時間を使って勉強するイメージとなります。
通学の学習イメージ
スクーリング授業(通学)は、スクールの教室に通学し、他の受講生と一緒にグループワークなどを行いながら実技的な演習を行います。
働いている人の場合は、土日などに開催されているフルタイムのスクーリング授業(朝9時頃~夕方17時頃まで)を計7回程度受講するイメージとなります。
また、夜間の数時間程度を利用したショートタイムのスクーリング授業を用意しているスクールもあります。ショートタイムの授業は、仕事帰りなどに立ち寄ることができ便利ではありますが、フルタイムの授業に比べ通学回数が増えることになります。
学習スペースを使うこともできる
スクール内に自主学習用のスペースを用意しているスクールもあります。
夜間まで自主学習用スペースを解放しているスクールもありますので、自宅が勉強しにくい環境である方や、たまに気分転換したい場合などには、スクールに出向き自主学習スペースを使って勉強することもできます。
働きながら実務者研修を受ける際に覚えておくポイント
最後に、働きながら実務者研修を受ける上で覚えておきたい以下3つのポイントについて紹介します。
- 振替授業のしくみをチェック
- 受講期限に注意
- 職場の「資格取得支援制度」を活用
振替授業のしくみをチェック
止むを得ない事情で予定していた授業を欠席する場合、「振替授業」という形で、別の日に改めて授業を受講することになります。
この振替授業の料金を有料としているスクールもあれば、無料で受けられるスクールもあります。また姉妹校など別の場所で受講しなければならない等、ルールが設けられていることもあります。
とくに仕事が忙しく欠席する機会が増えそうな方であれば、振替授業のルールをよくチェックした上でスクールを選びたいところです。
受講期限に注意
大抵のスクールでは最終的な「受講期限」が設定されています。一般的には「3年」を受講期限として設定しているスクールが目立ちます。
3年であればよほどのことがない限りオーバーすることはないものの、病気や怪我などで長期的に学習ができなくなった場合には注意しなければなりません。
職場の「資格取得支援制度」を活用
介護施設や介護系の企業では「資格取得支援制度」を用意しており、実務者研修にかかった受講料の一部もしくは全部を、会社側が負担してくれることがあります。
実務者研修は普通に受講すると、約10万〜20万円の費用が掛かることがありますので(無資格者の場合)、使える支援制度があれば積極的に使いたいところです。
資格取得支援制度については、勤務先の上司や担当部署などに確認してみましょう。
実務者研修は働きながらでも受けられる資格!
以上のように、実務者研修は働きながらでも受講することが可能です。実際に仕事をしながら、限られた時間で研修を受講している方もたくさんいます。
通信での学習は自由度も高いため、仕事と調整をしながら地道に進めていけば問題なく修了できるでしょう。
ただし、研修時間は450時間以上となり、かなりの長場となります。スクーリング授業を受けるため何度か通学をする必要もありますので、ある程度は学習に費やせる余裕のある時期に開始するのが望ましいでしょう。
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