介護施設や介護関連の企業で働いている人(働く予定の人)であれば、実務者研修の受講にかかる費用を「会社負担」として処理してもらえることがあります。
なかには全額負担してくれる施設さえありますので、上手く活用すればお金を掛けずに実務者研修を修了できます。
今回は、そうした会社負担で実務者研修を受講する方法について、注意点や覚えておくポイントを交えつつ解説します。
実務者研修と会社負担
実務者研修を受講する場合、通常は10万〜20万円程度の受講費用が発生します(無資格者の場合)。
また、カリキュラムには通学が必須となる「スクーリング授業」も含まれているため、交通費やランチ代等の費用も別途発生します。
そのように多くの出費が予想されるため、従業員の金銭的な負担を軽減するためにも、介護施設や介護関連の企業では「資格取得支援制度」などのサポート体制を用意していることがあります。
どの程度負担してもらえるのか
どの程度会社負担となるかは、勤務する会社(施設)によります。
実務者研修に掛かった費用の「全額」を会社負担とする会社もあれば、「上限〇〇万円まで会社負担」「〇割分を会社負担」といったように、上限額や割合を決めている会社もあります。
また、受講費のみを負担する会社もあれば、テキスト代や交通費まで全て負担してもらえる会社もあります。
その他にも「祝い金」という形で、実務者研修の修了を条件に手当を支給するケースもありますので、会社側が提示するルールをよくチェックしてみて下さい。
スクールを持っている会社は全額負担となりやすい
大手の介護施設や大手の介護系企業の場合、自社グループ内で介護関連の資格スクールを持っており、そこで実務者研修の講座を開催していることがあります(もしくは提携校がある)。
そうした会社に就職した場合であれば、自社グループ内の資格スクールを活用できるため、会社側の全額負担(本人負担ゼロ)で受講できるケースが多いです。
「初任者研修」であれば会社負担となることも
会社によっては、実務者研修は会社負担とならないものの、下位にあたる「介護職員初任者研修」は会社負担で受講できることがあります。
介護職員初任者研修を受講すると、実務者研修の一部科目が免除され(合計130時間分)、実務者研修の受講料金も関連資格保有者の扱いで割安となります。
こうした場合、まずは会社負担で受講できる初任者研修にチャレンジし、その上で割安になった実務者研修を実費で受講することにより、間接的に自己負担を抑えることができます。
会社負担となる人の条件について
たとえ会社負担の制度を用意している施設に勤めていたとしても、従業員の全員が対象となるとは限りません。会社負担をしてもらうには、いくつか条件があるのが一般的です。
ここでは会社負担となる人の条件について解説します。
雇用されている
前提として実務者研修の費用を会社負担してもらうには、その会社に従業員として雇用されている必要があります。業務委託やフリーランスの契約では、こうした会社負担の制度は利用できないのが一般的です。
雇用形態の条件
雇用形態としては、正規雇用(正社員)で雇用された人の方がこうした支援制度を受けやすいです。
非正規雇用(非常勤)の従業員も会社負担の対象とする施設もありますが、「負担割合が少ない」「公休扱いにならない」「交通費は負担しない」など、正社員に比べ待遇が劣ることがあります。
細かな条件があることも
施設によっては、会社負担をしてもらう上で、以下のような細かな条件が定められていることもあります。
- これまでの勤務期間が〇〇〇日以上ある人
- 週〇〇時間以上働いている人
- 「介護職員初任者研修」などの関連資格を保有している人
- これまでの勤務態度や能力などに問題がない人 など
たとえば入社したばかりの人にも会社負担で実務者研修を受講させ、それで退職されてしまうと会社側にとって痛手となります。そのため「一定の勤務期間がある」などの条件を設け、ある程度の選別が行われるケースが多いです。
会社負担してもらう上で覚えておくポイントや注意点
実務者研修の費用を会社に負担してもらったことが原因で、トラブルに発展することもあります。
ここでは、会社負担してもらう上で覚えておくポイントや注意点を解説しますので、よく理解した上で受講するようにしたいところです。
「後払い」となることがある
会社負担となる場合の支払い方法として、会社から従業員に対して「後払い」で費用を補てんするケースがあります。
そうした場合は、後からお金は返ってくるものの、スクール窓口での最初の支払いは実費となるため、支払いのための資金を用意しておく必要があります。
また、領収書等がないと、のちのち補てんの支払いを受けられないことがありますので、契約時の書類はしっかりと保存しておきましょう。
「返金」が求められることがある
会社負担で実務者研修を受講し、その後すぐに退職をした場合、会社が負担した金額の返金を求める施設があります。
「1年以内に退職をした場合は全額返金」のようなルールが設けられていることもありますので、将来的に転職などを考えている方は注意したいところです。
「有休」扱いになることがある
実務者研修を受講するために仕事を休んだ場合、「公休」扱いにする施設もあれば、「有休」扱いとなってしまう施設もあります。
実務者研修ではスクーリング授業などで複数回通学する必要があり、その度に有休扱いとなってしまうと、「年次有給休暇数」を一気に消費してしまうことがあります。他の用事で有休が使えなくなる恐れもありますので、残りの有休数に注意したいところです。
仕事との両立で多忙になることがある
実務者研修は、仕事と両立しながら受講することも可能です。通信教育や休日・夜間コースを用意しているスクールも多々あり、働きながら受講している人も大勢います。
とはいえ仕事と両立する場合、多忙な日々が続くこともあり、簡単に取れる資格というわけではありません。
仕事から帰宅後や休日などに通信学習を進め、何度か現地の教室に通学する必要もありますので、自由時間が減り、プライベートも犠牲になりがちです。
また、無資格者の場合、合計450時間以上(期間としては最短でも6か月以上)の受講が必要となりますので、長丁場となることも覚えておきたいところです。
実務者研修を受講しスキルアップを目指そう!
会社負担の資格取得支援制度を用意している施設は意外と多く存在します。ご自身が今勤めている施設でも用意されている可能性がありますので、まずは上司や担当部署などに確認してみましょう。
なお施設側としては、従業員のスキルアップや活躍の場を広げるため、こうした会社負担の制度を用意しています。
実務者研修では介護に関する専門的な知識を学ぶことができ、国家資格となる「介護福祉士」の取得にも繋げられますので、10万円20万円と多くの費用を負担してもらう分、しっかりと知識や技術を身に着け、より活躍できる人材を目指しましょう。
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