「介護は女性の仕事」というイメージは、いまも根強く残っています。実務者研修の受講を考えている男性のなかには、「教室に男性はいるのだろうか」「浮いてしまわないか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、公的な調査データをもとに実務者研修保有者の男女比を示したうえで、男性が介護の現場で担える役割と、職場を選ぶときに確認したいことを整理します。
- 実務者研修保有者の男女比は、男性25.4%・女性69.3%。男性は約4人に1人です
- 介護職全体でも男性は約2割。実務者研修保有者のほうが男性比率はやや高めです
- 同性介助のニーズや移乗介助など、男性が求められる場面は確かにあります
実務者研修保有者の男女比は?
実務者研修の保有者は、男性が25.4%、女性が69.3%です。男性は約4人に1人という割合になります。
公益財団法人介護労働安定センターの調査では、介護分野の労働者22,154人を対象に、保有資格別の男女比が集計されています。実務者研修の保有者について、結果は次のとおりです。
| 性別 | 保有割合 |
|---|---|
| 男性 | 25.4% |
| 女性 | 69.3% |
| 無回答 | 5.3% |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」表Ⅷ-4(1)②
女性が約7割を占めており、男性は少数派です。ただし「ほとんどいない」というほどではなく、4人に1人は男性という水準です。
介護職全体と比べると、男性比率はやや高め
同じ調査で、介護職全体の男女比も集計されています。介護職全体では男性20.9%、女性72.3%、無回答6.9%でした。
実務者研修の保有者は男性25.4%なので、介護職全体より男性の比率が4.5ポイント高いことになります。資格を取得してキャリアを積もうとする層では、男性の割合がやや上がる傾向が見て取れます。
職種によって女性比率は大きく変わる
介護分野といっても、職種によって男女比は異なります。特に女性比率が高いのは次の職種です。
| 職種 | 女性比率 |
|---|---|
| 看護職員 | 84.4% |
| 訪問介護員 | 78.1% |
| サービス提供責任者 | 76.4% |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 72.5% |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」表Ⅷ-4(1)①
訪問介護員は78.1%が女性で、在籍するヘルパーのほとんどが女性という事業所もあります。一方、生活相談員や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの職種は、介護分野のなかでは男性比率が高めです。
つまり「介護=女性の仕事」と一括りにするのではなく、どの職種を目指すかによって環境は変わる、というのが実態です。
受講者の男女比は教室によって変わる
実務者研修の「受講者」の男女比は、公表しているスクールが少ないため全体像はつかみにくい部分があります。
実際の教室では女性の受講者が多い傾向にありますが、スクールの所在地や時期によって構成は変わります。男女がほぼ半々という教室もあります。気になる方は、申し込み前にスクールに問い合わせてみるとよいでしょう。
男性が実務者研修を修了することの意味
男性が少数派であることは、不利を意味しません。むしろ男性が求められる場面は確かにあります。
同性介助のニーズがある
入浴介助や排泄介助といった場面では、「同性のスタッフに担当してほしい」と希望する利用者がいます。男性の利用者が男性スタッフを希望する場合、対応できる職員が限られているのが現状です。
これは利用者の尊厳に関わる部分でもあり、事業所としても同性介助に対応できる体制を整えたいと考えています。男性職員が少ない職場ほど、男性の有資格者は求められます。
移乗介助など身体的負担の大きい場面
ベッドから車いすへの移乗など、利用者の身体を支える場面では、体格や体力が助けになることがあります。特に要介護度が高く全介助が必要な方の場合、複数名での対応が基本ですが、対応できる職員が多いほど現場は回りやすくなります。
ただし、介助は力任せで行うものではありません。実務者研修の生活支援技術では、ボディメカニクスを活用して身体的負担を抑える介助方法を学びます。体格に関係なく、正しい技術を身につけることが安全な介助につながります。
訪問介護で活躍の場が広がる
実務者研修を修了すると、訪問介護で身体介護を担当できるようになります。訪問介護は利用者の自宅で一対一の支援を行うため、同性介助の希望に応えられるかどうかが、事業所にとって重要な要素になります。
さらに、サービス提供責任者は実務者研修の修了が要件のひとつです。現在サービス提供責任者の76.4%は女性ですが、これは資格保有者の分布を反映したもので、男性が就けないわけではありません。
修了後にどんな道があるかは実務者研修を修了すると何ができる?で解説しています。
男性が働きやすい職場を選ぶには
男性が少数派である以上、職場選びで確認しておきたいことがあります。
男性職員の在籍状況を確認する
応募や見学の際に、男性職員が何人いるか、どんな役割を担っているかを聞いてみてください。男性職員がゼロの職場と、複数在籍している職場では、働きやすさが変わります。
更衣室・休憩スペースの状況を見る
女性中心の職場では、男性用の更衣室や休憩スペースが十分に整っていないことがあります。細かい点ですが、日々の働きやすさに直結します。見学時に確認しておくと安心です。
同性介助の運用を聞く
同性介助をどう運用しているかは、事業所によって異なります。希望があれば必ず同性が対応する方針なのか、人員の都合で難しいことがあるのか。ここを聞いておくと、入職後のギャップを減らせます。
資格取得支援の有無を確認する
実務者研修の受講費用を負担してくれる事業所もあります。これから就職・転職する方は、資格取得支援制度の有無も比較材料になります。詳しくは実務者研修の費用の会社負担をご覧ください。
受講にあたって知っておきたいこと
実務者研修に性別による受講条件はありません。年齢・学歴・実務経験の条件もなく、無資格・未経験の方でも受講できます。
カリキュラムは20科目450時間で、通学が必要なのは介護過程Ⅲと医療的ケアの演習だけです。日数にすると7日程度で、残りは自宅学習として自分のペースで進められます。
すでに初任者研修やヘルパー資格をお持ちであれば科目が免除され、学習期間は約2ヶ月まで短くなります。保有資格別の詳細は学習期間と受講料の一覧でご確認いただけます。
働きながら受講する方法は働きながら実務者研修を修了するコツで紹介しています。
よくある質問
教室に男性の受講者はいますか?
スクールや時期によって異なりますが、実務者研修保有者の25.4%は男性なので、男性の受講者がいる教室は珍しくありません。所在地によっては男女がほぼ半々という教室もあります。気になる場合は申し込み前にスクールへ問い合わせてみてください。
男性は介護の仕事で不利になりますか?
不利になるわけではありません。同性介助を希望する男性の利用者は一定数おり、対応できる男性職員は求められています。また実務者研修保有者の男性比率(25.4%)は、介護職全体(20.9%)より高く、資格を取得してキャリアを積む男性は増えています。
力に自信がなくても介護の仕事はできますか?
できます。介助は力任せで行うものではありません。実務者研修の生活支援技術では、ボディメカニクスを使って身体的負担を抑える介助方法を学びます。正しい技術を身につけることが、利用者にとっても職員にとっても安全な介助につながります。
まとめ:男性は約4人に1人。少数派だが珍しくはない
実務者研修の保有者は男性25.4%、女性69.3%で、確かに女性が多数を占めます。ただし男性は4人に1人であり、「ほとんどいない」という状況ではありません。介護職全体(男性20.9%)と比べると、実務者研修保有者のほうが男性比率は高くなっています。
同性介助のニーズや、訪問介護での活躍の場を考えると、男性の有資格者を求めている事業所は少なくありません。職場を選ぶ際は、男性職員の在籍状況や同性介助の運用を確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。
実務者研修に性別による受講条件はありません。介護の仕事を続けていくつもりなら、修了しておく価値のある研修です。

