介護福祉士国家試験を受験する上で、気になるのが「年齢」です。
特にミドル世代・シニア世代で介護福祉士の受験を考えている方の場合「自分の年齢で受験できるのだろうか」「同世代は合格できているのだろうか」等の心配も大きいのではないでしょうか。
そこで当記事では、介護福祉士国家試験の年齢条件や受験者の年齢分布について解説します。年齢的な面で不安がある方はぜひご覧ください。
介護福祉士国家試験の年齢条件
「介護福祉士」は介護分野で唯一の国家資格となり、国家試験は年1回開催されています。介護福祉士国家試験を受験する上で年齢条件は特にありません。何歳であっても受験可能であり、60代70代になってから受験することも可能です。
ただし下をみると、10代で受験する人は少なく、受験者の大半は20代以上です。これは介護福祉士国家試験の「受験資格」を得るために、3年以上実務経験を積む、もしくは養成施設や福祉系高校に通う必要があるためです。
受験資格について
介護福祉士国家試験は年齢不問ではありますが、受験するには「受験資格」を満たす必要があります。
受験資格を得るために、以下3つのルートが用意されています。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
※加えて外国人用の「経済連携協定(EPA)ルート」も存在します。
ルート | 受験資格を得るまでの流れ |
---|---|
実務経験ルート | 介護等の業務の実務経験3年以上+実務者研修(450時間) |
養成施設ルート | 都道府県知事が指定する介護福祉士養成施設等で2年以上(1850時間)学ぶ |
福祉系高校ルート | 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定する福祉系高校で3年以上(1855時間)学ぶ |
この3つの中で特に受験者が多いのは一つ目の「実務経験ルート」です。介護職に就き、現場で3年以上の実務経験を積み、受験資格を得るイメージです。
一方で「養成施設ルート」や「福祉系高校ルート」は、主に現役の学生、年齢の若い人、仕事をしておらず学業に専念できる人などが利用することの多いルートです。
なお法改正により、2015年以降は、実務経験ルートで受験資格を得るためには実務経験3年以上に加え「実務者研修」の受講が必須となりました。
介護福祉士合格者の年齢分布
実際に介護福祉士国家試験に合格している方は何歳くらいが多いのでしょう。ここでは合格者の年齢分布について、データを交えながら紹介します。
合格者の年齢分布
以下は、直近、第35回(2023年)介護福祉士国家試験における合格者の年齢分布です。
年齢分布 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
~20歳 | 5,001人 | 7.5 % |
21~30歳 | 16,934人 | 25.4% |
31~40歳 | 12,920 人 | 19.4% |
41~50歳 | 16,877 人 | 25.3 % |
51~60歳 | 12,197人 | 18.3% |
61~歳 | 2,782人 | 4.2% |
合計 | 66,711人 | 100% |
ご覧のように「21~30歳」と「41~50歳」にピークがあり、この年代層の合格者は特に多めです。また全体的にみると、21~60歳までの現役世代は概ね20%前後で均一に分布していることもうかがえます。
一方で「~20歳」や「61~歳」の年代層は、他の年代層に比べると合格者数がだいぶ少ないことがわかります。
合格者数と合格率
以下は、第35回(2023年)介護福祉士国家試験における合格者数と合格率です。
受験者数 | 79,151人 |
合格者数 | 66,711人 |
合格率 | 84.3% |
合格率は例年70%前後で推移しておりましたが、第35回は特に高く84.3%を記録しています。つまり受験者の大多数が合格していることを意味し、専門職向けの国家試験としては高めの合格率といえるでしょう。
介護福祉士全体の年齢層は?
ここまでは国家試験の受験者の年齢層をみてきましたが、すでに試験に合格し、介護福祉士として働いている介護福祉士全体の年齢分布はどのようになっているのでしょう。
公益社団法人 日本介護福祉士会が2023年に公開した「第14回介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査報告書 」では、介護福祉士資格を保有している人が加入する「日本介護福祉士会」会員の中から合計2,274人の介護福祉士を無作為に選び、介護に関するさまざまなアンケート調査を行っています。
この調査では、合計2,274人の回答者の年齢分布についても集計しており、以下のような結果となっています。
年齢 | 割合 |
---|---|
30歳未満 | 5.6% |
30歳代 | 13.3% |
40歳代 | 32.4% |
50歳代 | 27.3% |
60歳代以上 | 20.3% |
無回答 | 1.1% |
ご覧のように、日本介護福祉士会会員の年齢分布としてみると、「40歳代」の介護福祉士が最も多く32.4%を占めています。次いで多いのが「50歳代」の27.3%、「60歳代以上」の20.3%です。一方で「30歳未満」や「30歳代」の割合は低い傾向です。なお回答者全体の平均年齢は49.3歳と集計されています。
この集計結果からいえるのは、介護福祉士の資格を持って活躍している人の大半は40歳以上の年配者であり、40歳以下の若い人で介護福祉士の資格を所持している人は全体としては少ないということです。
ミドル世代・シニア世代は勉強との両立が課題
介護福祉士国家試験はさまざまな年齢の方が挑戦できる試験ではありますが、ミドル世代・シニア世代の方が受験する場合には、仕事と勉強の両立が課題となりやすいです。
実務経験ルートで受験する場合、まずは「受験資格」を満たすために、養成スクールなどに入学し「実務者研修(450時間)」を受講する必要があります(通信学習も可能)。
また実務者研修とは別に、介護福祉士国家試験の試験勉強もする必要があります(合計250時間程度)。
介護の仕事はただでさえ日々体力を使いますので、その上で帰宅後に勉強をするというのは、年齢を重ねる毎に負担が大きくなりやすいです。特にミドル世代・シニア世代の方の場合、無理をし過ぎると身体を壊してしまう恐れもあるため、ご自身の状況を踏まえながら計画的に進めていくことが大切です。
介護福祉士は年齢を気にせずに受験できる資格
ここまで解説したように、介護福祉士という資格はミドル世代・シニア世代の受験者も多いです。40代はもちろん50代になってから受験しても珍しい扱いにはならないため、「もう若くないから」「若い子ばかりだったらどうしよう」のような心配はいりません。
簡単に取れる資格ではなく、勉強などでは苦労も伴いますが、それでも年齢的な制限はなく誰でも受験できる資格であるため、意欲のある方は挑戦してみてはいかがでしょう。