今回は、「介護業界で働きたい」、もしくは「現在介護士として就労しながらキャリアアップを考えている」という方に向けて「実務者研修の相場」や「受講に掛かる費用」について詳しく解説していきます。
介護資格の種類とキャリア制度について
介護資格を取得する際は、下位資格から段階的にステップを踏みながら上位資格を取得していくといったケースがほとんどです。
一般的には下記の流れでステップアップしていきます。
無資格→介護職員初任者研修（旧ホームヘルパー2級）→実務者研修→介護福祉士
無資格→介護職員初任者研修（旧ホームヘルパー2級）→実務者研修→介護福祉士
今回の記事では、この中から「実務者研修」に焦点を当てて解説していきます。
そもそも実務者研修ってなに？
実務者研修とは、介護士の入門資格である「介護職員初任者研修」の上位資格にあたる研修です。
介護士として必要な介護過程や認知症などについて、より専門的な知識やスキルを学ぶことができ、一人前の介護士になるために早めに取っておくべき資格と言えます。
また、介護福祉士国家試験の受験資格は、2017年より「実務者研修の受講・修了」が義務付けられ、実務者研修は介護福祉士を目指すうえで必須の資格となっています。
実務者研修は、介護職員の質の向上に加えて、不透明と指摘の多かった介護士のキャリアパスの明確化を目的に新たに新設された資格です。これにより「介護職員基礎研修」「ホームヘルパー1級」が一本化されました。
実務者研修後の活躍の場
介護福祉士実務者研修の修了者は、介護保険サービスを提供する介護施設や介護事業所などで幅広く活躍できます。
特に、医療的ケアが多い特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、介護現場の第一線で働く方も多いでしょう。
また、訪問介護事業所でのコーディネート業務を行うサービス提供責任者（サ責）としても需要が高く、働き方や就職先の選択肢は豊富です。
介護士としてのキャリアアップを目指すのであれば、実務者研修の受講は必須の資格と言えるでしょう。
実務者研修を取得することで介護福祉士へのキャリアアップが目指せる
キャリアアップのために、介護業界で唯一の国家資格である「介護福祉士」を目指す人も大勢います。
介護福祉士を受験するにあたっては、実務者研修を取得していることが受験資格として必須となります。実務経験が3年以上ある人は、たとえ無資格者であっても、実務者研修を取得すれば介護福祉士試験を受験することが可能になります。
実務経験がある方で、できるだけ早く介護福祉士試験を受験したいという人の中には、初任者研修は受けずに実務者研修を修了し、最短ルートで介護福祉士へのキャリアアップを目指す人もいます。
介護福祉士は一般的な介護職よりも業務の幅が広く、利用者さんに対して直接サポートできることも多くなります。
「国家資格を持つ医療関係者」という位置づけにキャリアアップできるため、無資格から介護業界で就労している方で、更に活躍の場を広げたいのであれば、介護福祉士を目標とするのもおすすめです。
また国家資格をもつ介護福祉士であれば、事業所によって待遇面でも優遇される場合が多いでしょう。
介護福祉士を目指す方であれば、遅かれ早かれ実務者研修を受講する必要があるのは前出の通りです。
誰でも受講できる実務者研修
介護業界でのキャリアアップに必須の実務者研修。「受講するにあたって特別な資格が必要なのでは？」と思われる方もいるかもしれませんが、実務者研修を受けるにあたって必要な資格は特段ありません。
実務者研修は無資格者のほか、介護の経験がない人も受講できます。そのほか学歴や年齢性別も問わず、どなたでも受講することができます。
原則未成年でも受講できますが、スクールによっては「16歳以上の方」と年齢に一部条件を設けているところもあり、保護者の同意が必要なこともあります。外国籍の人でも、日本語の読み書きや聞き取りが可能であれば問題なく受講できます。
実務者研修の費用相場
今回の本題である「実務者研修の費用」について解説します。
実務者研修の相場は、「安いもので4万円から高額になると20万円以上かかる」と言われています。
受講料にこれほど差が生じる理由は、保有している他の介護資格の有無や種類によって受講料が決まってくるからです。
たとえば、無資格者の場合は、14〜22万ほど受講費用が必要になりますが、介護職員基礎研修を修了している方の場合は3〜5万円ほどで受講できます。
さらに、スクールや地域によっても受講料に違いがあり、受講の申し込み時期によっては早期割引キャンペーンなどを利用することでお得に実務者研修を受講することも可能です。
実務者研修の受講を検討している方は、自分が取得している資格の確認に加えて、気になるスクールの公式サイト閲覧やパンフレットの請求などをし、事前に必要な情報を調べておくことをおすすめします。
【保有資格別】実務者研修にかかる受講料相場の目安
保有する資格によって受講料が変動する実務者研修ですが、保有資格別の相場は以下のとおりです。
- 介護の資格を持っていない人の場合：14～22万円ほど
- 介護職員初任者研修あるいはホームヘルパー2級を修了している人の場合：8～19万円ほど
- ホームヘルパー1級を修了している人の場合：7～10万円ほど
- 介護職員基礎研修を修了している人の場合：3～5万円ほど
【スクール別】実務者研修に実際かかる費用
実務者研修の費用はスクールによっても変動します。
以下で大手スクールの実務者研修にかかる費用の実例をご紹介します。
①大手A社介護実務者研修の場合
無資格 176000円
ヘルパー2級/初任者研修 110000円
②大手B社介護実務者研修の場合
無資格 142670円
ヘルパー2級/初任者研修 109670円
③大手C社介護実務者研修の場合
無資格 115700円
ヘルパー2級/初任者研修 95700円
④大手D社実務者研修の場合
無資格 70000円
ヘルパー2級/初任者研修 60000円
実務者研修の相場や費用から考えるスクール選び
実務者研修の内容は、厚生労働省の厳しい基準により統一されています。
そのため、各スクールでは、実務者研修を開講するにあたり、定められた基準をクリアしなければならず、業界最安値の講座を受講したとしても、実務者研修を修了できないというようなトラブルは起きにくいと考えて間違いないでしょう。
また、同様の理由で、スクールによって受講内容も大きく異なるということもありません。
中には一定条件を満たすことで、実質研修費用が無料になるなどのキャンペーンを行っているスクールもあります。
そのような費用対効果の高い大手スクールで実務者研修を受講することは、費用を安く抑えたい受講者にとっては魅力的な選択肢と言えるでしょう。
