介護分野における登竜門資格となる「介護職員初任者研修」。
「初任者研修は介護職に就職後何年目までに取得すべきなのか」「就職前に取得しておいた方がよいのか」等、取得するタイミングについて疑問や不安を抱えている方もいらっしゃるかと思います。
そこで当記事では、介護職員初任者研修の取得タイミングや取得することのメリットについて解説します。これから介護職員初任者研修の取得を考えている方、将来介護職を目指している方はぜひご覧ください。
介護職員初任者研修は介護職何年目で取るべき?
介護職員初任者研修は何年目までに取得しておくのが望ましいのでしょう。
ここでは介護職員初任者研修を取るタイミングについて解説します。
就職前に取得しておくのが効果的
前提として介護職員初任者研修は、就職後ではなく就職前に取得しておいた方が効果的です。
介護職員初任者研修を取得しておくと「介護職に対して意欲があること」「一定の基礎知識や実技を学んでいること」等を対外的に示すことができるため、特に未経験者の場合は評価材料となりやすく、就職の成功率を高められます。
研修で学んだ内容を活かすことで、仕事の飲み込みも早くなるでしょう。
こうした理由から、介護職員初任者研修は介護施設へ就職する上で必須となる資格ではないものの、可能であれば就職前に取得しておくのが望ましいです。
就職後に取得する場合は1~2年目がおすすめ
無資格で介護施設に就職した人が、就職後に介護職員初任者研修を習得する場合は、できれば1〜2年目のうちに取得しておくのがおすすめです。
そして2〜3年目は上位資格となる「実務者研修」、4年目以降は国家資格となる「介護福祉士」の取得を目指すのが介護職のポピュラーなキャリアアップモデルです。
より細かくいえば、介護職員初任者研修を取得しておくと、実務者研修の受講科目が一部免除となるメリットもあるため(詳細後述)、1~2年目の早いうちに取得しておくと、その先の「実務者研修」や「介護福祉士」への道がスムーズに描けるようになります。
介護職員初任者研修はどんな人が取得できる?
介護職員初任者研修はどのような人向けの資格であり、受講条件(受験条件)は定められているのでしょうか。
以降では、介護職員初任者研修の対象となる人について解説します。
誰でも受講可能
介護職員初任者研修は、以下のように特に受講制限はなく、基本的には誰でも受講可能です。
- 受講する上で、介護職の実務経験は不要
- 受講する上で、必要となる学歴や資格はなし
- 国籍の条件なし(ただし講義や試験は日本語で行われる)
- 16歳以上が対象
年齢が16歳以上であれば、学生、フリーター、異業種出身者等、誰であっても問題なく受講できます。
どういった人が取得しているのか
介護職員初任者研修を受講しているのは、主に以下のようなタイプの人です。
- 介護職への就職や転職を目指す人
- 介護職として働きはじめたばかりで、介護について理解を深めたい人
- 親の介護などに備え、介護について理解を深めたい人
- 「訪問介護」に携わりたい人
- キャリアアップや資格手当を望む人
- 上位資格「実務者研修」の受講科目を一部免除したい人 など
介護職員初任者研修を取得するメイン層は、これから介護職への就職や転職を目指す人、もしくは1〜2年目の駆け出しの介護職の人たちです。
また、「近い将来、親の介護をする際に役立てるため」「親が既に介護サービスを受けており、自分も理解を深めておくべきと感じたため」等の理由で、介護が必要な人を抱えている方が取得するケースも増えています。
介護職員初任者研修を取ることの意味やメリットは?
介護職員初任者研修を取得するメリットは、主に以下の4つがあります。
- 介護について理解を深められる
- 就職がしやすくなり給料アップにも繋がる
- 「訪問介護」が行える
- 実務者研修の受講科目が一部免除される
以降では、それぞれのメリットについて深堀して解説します。
介護について理解を深められる
介護職員初任者研修の「講義」では、以下のような介護に関する知識を学ぶことができます。
- 介護における尊厳の保持・自立支援
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携
- 老化の理解
- 認知症の理解 など
「演習」では、以下のような介護技術を実技形式で学ぶことができます。
- ベッドメイキング
- 歩行や移乗の介護
- 衣服の着脱
- 食事の介護や口腔ケア
- 入浴や排泄の介護 など
講義と演習の研修を通し、介護の基礎を身に着けられ、就職後の実務に活かせることが一つのメリットとなります。
就職がしやすくなり給料アップにも繋がる
介護職員初任者研修を取得しているということは、一定水準の介護知識と技能を身に着けていることとなりますので、無資格者よりも就職で優遇されることが増えます。
また就職先によっては「資格手当」などにより給料が底上げされることもあります。
収入データとして、厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員初任者研修を取得している人の平均月給は30万510円(平均勤続年数8.1年)、無資格者の平均月給は27万1260円(平均勤続年数5.2年)と公表されており、平均月給で約3万円ほど差が生じています。
「訪問介護」が行える
介護施設での介護業務であれば無資格でも行えます。
一方、クライアントの自宅を訪問し、生活援助や身体介護などの介護サービスを提供する「訪問介護」の仕事では、介護職員初任者研修の資格が必須となります。
したがって、介護職員初任者研修を取得しておけば、訪問介護やホームヘルパー向けの求人にも応募できるようになり、就職先の選択肢が増えるメリットがあります。
実務者研修の受講科目が一部免除される
介護職員初任者研修を取得しておくと、上位資格となる「実務者研修(介護福祉士実務者研修)」における「生活支援技術Ⅰ・Ⅱ」「介護過程Ⅰ」など9つの科目が免除されます。受講時間としては通常の450時間から320時間まで短縮できます。
なお、介護職員初任者研修を取得せず、実務者研修から受講することも可能ですが、その場合450時間の研修を受講する必要があります。
就職前のタイミングで取得するのがおすすめ
以上、介護職員初任者研修の取得タイミングについて解説しました。
介護職員初任者研修を取得しておかないと介護業界で働けないわけではありません。しかし、介護職員初任者研修を取得することでさまざまなメリットが生じ、早く取得するほどその恩恵も大きくなります。
将来的に、実務者研修や介護福祉士の取得を目指す上でも役立ちますので、介護業界で長く働く予定の方であれば、早くから介護職員初任者研修を取得しておくのがおすすめです。
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