重い肢体不自由や知的障害・精神障害と向き合うクライアントの日常を、24時間365日にわたって支える障害福祉サービスが、重度訪問介護です。
重度訪問介護は、障害の有無に関わらず、自分らしい生活を選択することのできる社会を実現するために社会的意義のあるサービスで、今後も施設入所以外の選択肢を希望するクライアントからの需要が高まり続けると考えられています。
重度訪問介護を提供するアテンダントは、重度訪問介護従業者養成研修の修了者である必要がありますが、介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士を目指す上でも非常に有意義であることをご存じでしょうか。
今回は、介護福祉士を目指すなかで統合課程を受講することの意義についてご紹介していきます。
介護業界でさらに知見を深めたいと考えているアテンダントの方や、介護業界でのキャリア形成にお悩みの方は、ぜひ最後までご確認ください。
介護福祉士の資格について
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に定められた介護業界でただ一つの国家資格です。
身体が不自由な高齢者や心身の諸機能に症状が出現している認知症のクライアント、また身体機能や知的・精神障害があるために自身の力だけでは日常生活を送ることを困難と感じているクライアントをサポートするための資格となっています。
クライアントに対してサービスを提供するのはもちろんのこと、介護福祉士の資格を保持しているアテンダントには後進の育成や現場でのリーダーシップ発揮といった役割を求められています。
介護福祉士の資格でできること
介護福祉士の資格を有していると、介護保険制度に基づいて要介護と認定されたクライアントに対する介護サービスの提供が可能になります。
介護に対する専門知識を有していることを証明する介護福祉士の資格を保有していると、重度訪問介護従業者養成研修統合課程と同様に障害支援区分4〜6のクライアントに対しても、介護を提供することができます。
基本的に提供するサービスは、以下の通りです。
- 身体介護……クライアントの身体に直接触れて行う介護。食事や排泄、入浴の介助や着替えのサポート、体位変換などが代表的です。
- 生活援助……クライアントが日常生活を送る上で必要な家事等をサポートします。調理や掃除、洗濯のほか、ゴミ出しや薬の受け取りなどを行います。
- 相談・助言……自宅で生活していく中で不安や疑問のあるクライアントや家族からの相談を受けて、アドバイスを行います。
- 社会活動支援……地域活動の情報を共有したり、参加をサポートしたりするほか、就労の支援も行います。
- チームマネジメント……高いスキルを持つ介護職としてチームをまとめ、よりよいサービスの提供のために、知見を活かして他のアテンダントと連携します。サービス提供責任者や生活相談員として勤務することも可能になります。
介護福祉士の資格でできないこと
介護福祉士は医療資格ではありません。
そのため、医療従事者にのみ認められている医療行為の提供を行うことはできません。
具体的に介護福祉士が提供することのできない医療行為は、以下のとおりです。
- 摘便
- 床ずれ(褥瘡)に対する処置
- インスリン注射を含む注射や点滴の処置と管理
- 血糖測定
ただし以下のような医療行為は法律で規制の対象外とされており、介護福祉士であっても「クライアントの身体に問題がなく、専門的な管理が必要でない場合」に限って提供可能となっています。
- 耳掃除
- 爪切り(糖尿病のクライアントや、爪回りの皮膚に異常がある場合は不可)
- 口腔ケア
- カテーテル交換時の準備・体位補助
- ストーマのパウチに溜まった排泄物の廃棄
- 市販されている浣腸器を用いた浣腸
また医療行為ではなく、以下のような医療的ケアであれば介護福祉士の資格のみで処置を行うことが可能です。
- 体温測定や血圧測定などのバイタルチェック
- パルスオキシメータを用いた動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定
- 軽度な傷ややけどなど、専門的な技術や判断を要さないレベルの外傷に対する処置
- 湿布や目薬、軟膏などの使用補助
- 内服薬の介助や座薬の挿入
一定の条件を満たすことで、介護福祉士が提供可能な医療行為
また上記の他に、介護福祉士の資格保持者であれば定められた研修の受講によって提供が可能になる医療行為があります。
喀痰吸引
喀痰吸引は、クライアントが自身の力で口や鼻、気管などに滞留している痰を排出することができないときに、吸引器具を使って痰を排出する医療行為です。
特に介護度が上がってくると痰を自分の力で吐き出すことができないクライアントが増加する傾向にありますので、介護の現場では特に需要の高い措置になります。
経管栄養
経管栄養は、嚥下機能の低下や体力・気力の衰えによって経口で栄養を摂取することができなくなったクライアントに対して行う措置です。
胃ろうや腸ろう、もしくは経鼻経管栄養といった手法を活用することによって、クライアントの生命維持に必要な栄養を体内に直接届けます。
介護福祉士を目指す上で統合課程を受講するメリット
介護福祉士の概要や役割が分かったところで、介護福祉士を目指す上で統合課程を受講する意義について確認しておきましょう。
介護福祉士が統合課程を受講するメリット①クライアントに対する理解の深化
重度訪問介護では、重度肢体不自由や重い知的障害・精神障害をもつクライアントに対して、介護サービスを提供していきます。
介護保険制度上で担当する高齢や認知症などを理由として介護が必要なクライアントに接する場合とは異なり、障害に対する専門的な知識や介護の技術が求められる環境です。
そのため重度の肢体不自由や精神的・知的障害をもつクライアントに対する専門性を追求することができる統合課程は、介護に従事するアテンダントにとって受講するメリットが非常に大きいといえます。
介護福祉士が統合課程を受講するメリット②医療行為の基礎が学べる
先ほどご紹介した通り、介護福祉士であっても規定の講座を受講していないと、喀痰吸引と経管栄養の処置を行うことはできません。
そのため現在では介護福祉士の受験資格として、3年以上の実務経験、さらに介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の受講が必須となっています。
統合課程には喀痰吸引等研修が含まれており、統合課程を受講することによって喀痰吸引と経管栄養に関する座学と演習までを修了させることができます。
有資格者としての認定までは実地研修を受けるだけの状態になりますので、非常に大きなメリットがあるといえます。
統合課程、介護福祉士の資格取得は土屋ケアカレッジで!
介護福祉士の資格について、そして介護福祉士を目指すうえで統合課程を受講するメリットについてご紹介いたしました。
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